荷主企業の皆さんだけでなく、物流事業者の皆さんも「物流業者」という言葉をお使いではないでしょうか?今回は、荷主企業と物流事業者の関係について、取り上げてみます。
物流の丸投げとブラックボックス化
現在物流を取り巻く環境は大きく変化している時代ですが、このような時代になる前は比較的変化のスピードも緩やかで求められるレベルも今ほど高くはなかったと思います。荷主企業は、物流事業者に業務を委託し、日々の物流が滞りなく行われていれば大きな問題になることはありませんでした。ただ、問題が顕在化しないため、知らないうちにブラックボックス化、いわゆる「丸投げ」状態が進んでしまったと考えられます。
近年は、AIやロボットなどいろいろな新技術が登場し、進化してきていますので、これらを自社の業務に活用することで物流の高度化ができる時代です。一方、ドライバー不足や2024年問題、軽油価格の高騰など物流事業者の経営にとっては、とても厳しい状況に置かれている時代です。また、新型コロナウイルス感染症により、考え方や生活様式などが大きく変化してきており、それに対応していくことも求められている時代です。
このような変化の大きい時代に生き残っていくために、物流やロジスティクスの改革も求められますが、いざやろうとしてもなかなか進まないという声を聞きます。これは物流がブラックボックス化しているためで、取り巻く環境変化により問題があぶりだされた形となっています。
現状の「見える化」から始める
このような問題を解決するための切り口をいくつかご紹介します。
まずは、現状の「見える化」、すなわち自社の物流やロジスティクスの全体を整理し、現状を把握してみましょう。何事も現状がわからないと手の打ちようがないためです。そして、荷主企業と物流事業者が同じ認識を持つことで、いろいろな施策が進めやすくなるからです。
その現状把握は多岐にわたりますが、荷主企業と物流事業者の間では、委託している物流業務の取り決めも明確にすることが必要です。これは、基準がなければ業務結果の評価ができず、双方での改善につなげられないからです。
評価のためには、荷主企業と物流事業者で共通のKPIを設定することが有効です。これにより、結果について双方で共通認識し、問題点が相互確認でき、改善・高度化を共同で進めることに繋げられます。
他にもいろいろ切り口があると思いますが、荷主企業と物流事業者が共同でいろいろな活動を行うことが重要です。
取り巻く環境の変化が大きい時代においては、今までのように荷主企業だけ対応していくのではなく複数の企業をパートナーとして、いろいろな施策を進めていく経営スタイルへの変革が求められています。ロジスティクスや物流面においては、提案型の物流事業者や3PL事業者がそのパートナーです。パートナー関係ですから、「物流業者」ではなく「物流事業者」を使うべきではないかと思います。
まかせておけば安心の時代は去り、協業することが必要な時代になっているというパラダイムの変革が求められています。
(参考)
ライノスパブリケーションズ ロジスティクスビジネス 2022年6月号(こちら)
(文責 中谷 祐治)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第481号 2022年6月22日)