今だから物流子会社について考えてみる:物流子会社の存在意義や役割の明確化をする時期かもしれない

3PLについて少し整理をしてみる

3PLが一般的な用語になった現在でも、3PLの定義は物流事業者各社、各人によって違っているのではないでしょうか。違いがあってもよいと思いますが、日本で3PLという用語がどのように定着したかを今一度整理します。

多くの事業者は、現在もその「受け身」の体質から抜け切れていないように感じます。しかし一部の物流事業者は「元請事業者」として荷主の物流を全て請け負うという考え方を出してきました。複数の物流モードや機能を組合せて荷主に提案していくことで、取引規模の拡大を指向し、「受け身」から「提案型」への脱却を図ってきました。

限られた物流事業者にはなりますが、販売物流との業際分野(たとえば、特殊な流通加工や工場内物流、調達物流、荷主の受注業務代行など)の業務を行っています。「荷主の立場=荷主のかゆいところに手が届く」提案物流の3PLが現れてきました。

物流子会社と3PL

3PLが浸透していく中で、物流子会社も3PLに入るのかどうかという疑問も生まれてきました。

物流子会社は1970年ごろに設立ブームを迎えましたが、その目的は「物流の一括管理による効率化」、「物流管理レベルの向上」、「コストの明確化」、「人材の受け皿」、「物流業界標準賃金体系の適用=コストダウン」など各社さまざまでした。そして経営方針も、親会社の業務だけを行うか他社の業務も行うのか、管理だけか実務も行うのか、などいろいろでした。

多くの場合は、親会社の物流を一括して受託し、他社の業務も取り込むことで親会社に効率化を還元するという方向で設立されています。しかしながら実態は親会社の物流業務を請け負うことが中心となり、親会社にとってはコスト面以外のメリットが出ない場合が多いように感じます。なかなか業務拡大ができない、コストが高止まりするということになりがちです

また、親会社が物流部の業務をすべて物流子会社に移管したものの、時間が経過するに従い物流がブラックボックス化するというケースも見受けられます。これは3PLに管理を含めたフルアウトソーシングしている場合も同様です。

これらの問題の解消も含めて物流子会社を再度親会社の物流部門として吸収するなどの動きも出てきました。そもそも設立の目的が明確でない、親会社との業務の切り分けが十分できていないことなども影響しています。物流が企業経営の中で重要視されている現在、物流子会社の存在意義や役割の明確化をあらためて行ってみるのも良いかもしれません。

(文責:釜屋 大和)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第496号 2023年1月25日)

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