Transport Management System(TMS)について 1:何故注目されているのか

昨今、輸送を取り巻く環境は大きく変化しており、それに伴い、輸送に関わるシステム、TMS(Transport Management System)が改めて注目を集めています。

ロジ・ソリューションにおいてもここ数年、TMS導入をお手伝いさせていただく案件が増えています。そこで、今回から複数回にわたって、TMSについてお話ししたいと思います。

輸送を取り巻く環境変化とTMS

第1回目は“なぜTMSが改めて注目されるようになっているか”の背景について、話していきたいと思います。その背景には、輸送を取り巻く環境の変化が大きく影響していると考えられます。

1つ目は、運送業界における人材不足です。ドライバーについては皆様もご承知の通りだと思いますが、それ以上に深刻なのは配車担当 の不足です。

直近はコロナ影響で有効求人倍率も減少傾向にありますが、それでも「運輸・郵便事務職」の有効求人倍率は全体に比べて高い倍率になっています。

厚生労働省が発表している直近データ(令和3年(2021年)6月)では「運輸・郵便事務職」の有効求人倍率は1.75倍、新規求人倍率も3.38倍と事務的職業の中でも高く、新規求人倍率ではトラックドライバーを含む「自動車運転職」以上に高水準となっています。

2つ目はコンプライアンス強化の流れです。1つ目にも連動することですが、労働時間の管理については年々厳しくなっています。また働き方改革法案の中の残業時間の上限規制については運送業界も令和6年(2024年)から適用されます。(運送業は特例で960時間/年)これにより、行政から従業員の労働時間をしっかり管理するよう増々求められるようになります。

3つ目は輸送条件の変化です。Eコマースの普及により、多頻度、小ロット、時間的制約のある輸送が必要とされ、輸送にかかる負荷は年々大きくなっています。

このように輸送を取り巻く環境の変化から、個人の経験や勘で配車計画を作成することや紙媒体で実績を管理するやり方には限界がきており、継続的に運用することが困難な状況にあるため、TMSの導入を検討する企業が増えていると考えられます。

次回はもう少し掘り下げてTMSの中身について話したいと思います。TMSにはどういった種類があるか、担当範囲や特徴について話していきたいと思います。

(文責:南部 大志)

【参考文献】

『スマートロジスティクス loT進化するSCM実行系』朴 成浩

厚生労働省 一般職業紹介状況(令和3年6月分(2021年6月分))について

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