宅配の次の革新は何か
さまざまな業界で新しいビジネスやサービスが生まれるなか、こと物流業界においては「宅配」ビジネス以降、革新的なサービスは誕生していないと揶揄されて久しいかと思います。
先日、ある雑誌で興味深い記事が目に留まりました。米国南部にある理工系大学の名門、ジョージア工科大学は70年以上にわたって物流の効率化について研究を積み重ねてきたそうです。その中核となるのが「サプライチェーン&ロジスティクス研究所」であり、物流領域では世界から注目を集める存在となっているようで、同大学が昨今手がけている研究領域が、「フィジカルインターネット」といわれる物流だというのです.
「フィジカルインターネット」とは、いわゆるインターネットの普及が世界で起こしてきた革新を物流の世界で体現しようという考え方です。具体的には、通信の世界において、相互の電話機を電話局同士の回線を通じてつないでいましたが、通信ネットワークの整備と広がりで、インターネットが生まれ、今ではルーターを経由してそのときどきで最適なルートを情報が自由に行き来するようになっています。これを物流の世界でも実現しようというものです。
ハブ・アンド・スポークが万能ではない
たしかに、物流インフラも基地局を中心とした通信インフラと似ています。ユーザーの近郊にある拠点で集約された貨物は、同エリアの中心拠点(ハブ)に集約され、さらに他のエリアの中心拠点をつないで仕分けされ、届け先の近くの拠点から配送されます。いわゆる「ハブ・アンド・スポーク」と言われるネットワークですが、物流業界では効率的な方法として構築してきた物流ネットワークの一つです。しかし、よくよく考えてみると、ユーザーや届け先の場所によっては、貨物が集約される物流の中心拠点(ハブ)は逆の方向に設置されている場合があります。ということは、本当の意味で最短ルートかといえばすべてがそうとはいえません。
通信業界では、大量のデータをやりとりする時代になると、電話会社は膨大な投資をして回線の能力を高めてきました。しかし、実際にはその能力の限界まで回線が使用されることはほとんどなく、結果的にムダなネットワークが生まれることになりました。
こうしたムダを省くため、インターネットでは、大量のデータをパケットと呼ぶ形で細分化し、それぞれのパケットがそのときどきで最適なルートを通って相手に送り届けられ、相手先のコンピュータが分割して送り込まれたデータを再構成する仕組みとなっています。したがって、世界中に張り巡らされた回線が効率的に使用され、現在のような世界を高速でつなぐインターネット社会が生まれました。
【後編】へつづく
(文責:貞 勝利)
【参考】日経ビジネス(2019年9月16日発行NO.2008)https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/mokuji/00036/
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第422号 2020年1月29日)