コールドチェーンの進化

いまとむかし

今から30年ほど前にはなりますが、出張時の新幹線切符の手配は一苦労でした。自ら旅行会社やJRみどりの窓口に出向いて切符を購入し、事務所で分厚い時刻表を眺めながら現地での移動方法を考えていました。

今と比較すると不便でしたが、出張=非日常の特別感がありました。新入社員のころは出張前日になると、「手配は間違っていないかな(先輩に怒られないかな)」、「出張旅費、銀行からおろしてきたかな」など少し不安になったものです。

今ではインターネットで新幹線の手配から決済までできるようになりました。海外出張におけるホテルの手配も旅行サイトからできるようになりましたし、航空券ももちろんインターネットで購入できます。また現地での食事も紹介サイトから予約ができるようになり、隔世の感があります。

出張の楽しみ

出張の楽しみと言えば現地での食事です。その地元でしか味わえない“ご当地グルメ”は魅力的です。わたしたちは北海道から沖縄まで日本国内の地方都市に出張する機会が多いため、その魅力に触れることが多々あります。

出張先での食事が楽しみなのは30年前と同じなのですが、東京で「地方の名産を味わう喜び」を体験できるようになりました。例えば、沖縄のジーマミ豆腐は現地に行かないと食べられなかったですが、いまは、東京の料理店で食べられますし、スーパーや百貨店での即売会イベントで購入することができるようになりました。

コールドチェーンの進化

東京にいながら地方の美味しいものが味わえるのは、コールドチェーンの進化によるものです。

コールドチェーンとは、低温管理が必要な製品(主に食品)を、低温を維持しながら生産から消費まで流通させる仕組みのことです。温度変化に敏感な食品の品質が、生産、物流(在庫管理、輸送)、販売の過程で損なわれないように守るのがコールドチェーンの目的です。

コールドチェーンを実施するには、物流面では冷蔵・冷凍倉庫、冷蔵・冷凍トラック、保冷箱の確保等に費用がかかります。また温度管理に必要な冷蔵・冷凍倉庫には基本的に扉があり、在庫に対して人の目が届きにくいという特徴があります。ドアの開け閉めで室温が上がりやすいため、品質に影響が出ることもあります。また使用環境条件に制限があり、常温倉庫と同じ環境での運用が難しいです。

これらをカバーするセンサー技術の進化が大きいと思われます。温度管理、重量管理、滞留在庫管理、扉の開閉管理など、IoTによる遠隔での管理が可能となり、コールドチェーンを進化させています。最新技術を現場に導入することにより、これまで人間が見て考えて判断していたことを自動化することが可能です。これは冷蔵・冷凍物流の現場の労働環境の改善にもつながっています。

(文責:釜屋 大和)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第483号 2022年7月20日)

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