物流を取り巻く環境は、近年ますます厳しくなっています。
「2024年問題」の影響も加味した結果、2030年には全国で約35%の荷物を運べなくなる恐れがあるという分析結果もあります。これには様々な要因があり、国や企業レベルで取り組まなければならないことが多くありますが、個人レベルでも協力できることがあるため、今回は「個人で協力できること」をテーマとしたいと思います。
再配達を減らす
BtoCの物流として、すぐイメージできるのは宅配便ではないかと思います。
近年の通信販売、特にインターネットを利用した通信販売の伸びとともに宅配便の取扱個数は急伸しています。国土交通省発表の調査結果によると、2022年(令和4年)10月の宅配便再配達率は約11.8%でした。(注1)
宅配便の再配達は輸送力の低下やCO2排出量の増加、ドライバー不足の深刻化など、重大な社会問題の一つとなっています。
再配達の問題は個人起因も多くあるため、皆さんが今日からも実践できる取組をご紹介したいと思います。できることからぜひやってみてはいかがでしょうか。
再配達に対する意識
再配達を発生させないように意識して行動することが、最も重要です。
最近では再配達の問題はテレビでも取り上げられていますので、リアルな状況を把握できます。実態を見ることで、より再配達に対する認識も向上すると思います。
必要なとき以外、時間指定はしない
デフォルトで時間指定が設定される場合もありますが、1日在宅予定のときは時間指定をしないなど、自分のスケジュールに合わせて設定することが望ましいです。時間指定は配送効率に影響する要素になります。
自宅以外の受取
コンビニ受取や宅配便ロッカーを活用しましょう。
宅配ボックスを使用した時は当日中に受け取る
宅配ボックスが満杯で再配達にならないよう、宅配ボックスに届いた当日に取り出すことも重要です。
できる限りまとめて購入する(配達回数を減らす)
急ぎの購入もありますが、通信販売を利用する際は、他に頼むものがないか確認し、できるだけまとめて購入しましょう。
期間が空く配達の場合は、スケジュールに登録する
ふるさと納税など、配達日が特定できないものは、連絡が入った段階で個人のスケジュールに登録するなど、配達までの期間が空くものは忘れないように工夫し、配達日の認識漏れがなくなるように意識しましょう。
宅配会社の通知設定をおこなう
各宅配会社には、Webやアプリで通知や配達方法の変更がおこなえる便利な機能がありますので、それらを活用し、配達日の認識漏れの防止や、受け取りができな
いときには配達前に日時を変更しましょう。
以上、個人で取り組める事例をいくつか紹介させていただきました。
ただし、トラックの輸送量に占める宅配割合は少ないため、再配達がなくなっても輸送力不足の問題が解決するわけではありません。しかしながら、現状の再配達率12%を5%にできれば、輸送力を1億トン補えるという試算結果があり、大きな効果は見込めます。
受取側の協力の輪が広がり、ひとりひとりが意識して取り組むことで、少しでも輸送力不足の解消に繋がればと考えております。
(文責:南部 大志)
【参考資料】
(注1) 国土交通省 報道発表資料「令和4年10月の宅配便の再配達率は約11.8%」
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第509号 2023年7月26日)
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