コロナ禍を経て改めて考えたいリスク対応プラン:フィンクのマトリクスを参考に

リスクの分類

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受け、食品・医薬品・日用雑貨品などを除き消費が大きく低迷しています。特に大手アパレルは3月度対前年比で30~50%の落ち込みを見せています。

そもそも今回の新型コロナウイルスによるリスクに対してどのような準備を行うべきだったのかを考えるにあたり、「フィンクのマトリクス」を用いてみます。この「フィンクのマトリクス」はスティーブン・フィンクが考案した手法であり、以下の危険衝撃度(影響度)×危険発生確率の4象限でリスクを分類します。

・影響度(低)×発生確率(低):グリーンゾーン 容認して受け入れる
・影響度(低)×発生確率(高):グレーゾーン  予防策をとっておく
・影響度(高)×発生確率(低):イエローゾーン リスク軽減案を考える
・影響度(高)×発生確率(高):レッドゾーン  活動自体を行わない

実際にそれぞれのゾーンでどのような対応が必要なのかを考えてみます。グリーンゾーンに位置するリスクは、そのリスク内容を把握はしておくべきですが、何も対応せずに受け入れます。コスト・経営資源をリスク対策に割く必要がないという判断です。

物流センターの出荷作業で、特定の工程が遅くなることが想定され出荷遅延が発生する可能性があるなどはグレーゾーンのリスクです、作業方法の改善で遅延を回避するなどの予防策を考えます。

地震や台風などの自然災害によるリスクはイエローゾーンに位置します。今回の新型コロナウイルスによる経済活動停止なども該当するでしょう。計画の変更の必要はなく、実施の際に適切な対処ができるようにしておくことが肝要です。コンテンジェンシープランとも呼ばれています。

計画時点でレッドゾーンのリスクが存在する場合は計画自体を修正・取りやめます。例えば小売業で例えますと、「グローバル化を目指し、内戦が多い紛争地域への出店計画を立てる」はこのゾーンに属します。

アフターコロナで考えなければならないこと

百貨店、ショッピングセンター、直営店舗が閉鎖され、今回の新型コロナウイルスの影響でアパレル業界は大きな打撃を受けていますが、EC販売比率(EC化率)が高い企業はその影響を縮小させています。コンテンジェンシープランの一つとしてEC化率を高めることが考えられます。

コロナショックは、今後の消費者の購買行動や消費に対する価値観を変える可能性があります。テレワークが定着すれば巣ごもり消費が浸透するでしょうし、百貨店には客足が戻らないかもしれません。店舗に出向いて店で服を買う頻度が低くなり、店舗販売のビジネスモデルを変更せざるを得ないかもしれません。

EC販売はこれらのリスクを軽減するものではありますが、最終の顧客タッチポイント(顧客に商品をお届けする役割)は物流ですので、在庫管理や流通加工をどのようにするのか、配送体制をどのように構築するのか、またそれらを支える受発注管理システム、フロントシステムは何を準備するのかを考えなくてはなりません。

(文責:釜屋 大和)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第430号 2020年5月27日)

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