今こそ、確かな3PL事業者を見極める目を -信頼できる3PL事業者選定のポイント-

1.物流業界の現況

平成21年1-3月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で、前期(平成20年10-12月)比4.0%減、年率15.2%減という、戦後最悪のマイナス成長を記録しました。自動車や電子部品など、輸出依存度の高い業種での減産が影響し、輸出も、前期比26.0%減と、過去最大の減少率を記録しています。百年に一度と叫ばれる世界的な不況は、今尚日本全土を覆っているようです。【図1・2参照】

 トラック業界でも、生産・出荷量の激減に伴い、輸送量が大幅に減少しました。今年1月実績で、特積トラックは前年同月比10.0%減、一般トラックは前年同月比9.7%減の輸送量を記録しています。また、日本貨物運送協同組合連合会によると、今年4月時点での荷物登録件数は、前年同月に比べ減少し、車両登録件数が増加する状況が続いており、物流業者は厳しい経営状態にあるといえます。

  図3に示されているように、貨物自動車運送事業法による参入規制緩和を受け、平成3年度以降、一般トラック運送事業を中心に、毎年1,500社を超える新規参入が続き、19年度末には6万3,122社となりました。一方、廃業・倒産などによる退出も相次いでおり、14年度以降は、毎年1,000社を超える退出が続いるようです。19年度の退出企業数は、過去最多の1,663社を記録しています。

 「資本金3億円以下ならびに従業員数300人以下」を中小企業とする定義に従えば、一般トラックでは、従業員数でみると99.8%、資本金でみると99.7%が、中小企業に当たります。物量の減少と、燃料費等の負担増加により、今後も中小企業の進退が繰り返されることでしょう。

 また、3PLを手掛ける大手企業と、荷主の指示を忠実に遂行するだけの中小企業という二極化も見られ、現在の物流業界は、非常に脆弱な体質をしていると言わざるを得ない状況にあります。

【図1 実質GDP成長率 対前期比率の推移】
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(出所:内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部 平成21年1~3月期四半期別GDP速報)

【図2 財貨・サービスの輸出(実質) 対前期比率の推移】
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(出所:内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部 平成21年1~3月期四半期別GDP速報(1次速報値))

【図3 トラック運送事業者数の推移】
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(参照:社団法人全日本トラック協会「平成20年度版トラック輸送産業の現状と課題」より
「表5トラック運送事業者数の推移」をもとに筆者が作成)  

2.荷主側の現況 

 今回の経済不況の影響を受け、荷主側の事業構造改革も激化しています。ここ最近の急速な景気悪化による急激な売上高の減少により、企業は、利益を確保するための、抜本的なコスト削減を強いられています。また一方で、最近の企業動向の特徴として、成長投資の動きも目立ちます。景気回復を見越し、成長分野への経営資源シフトが図られているのです。 
 
 この、コスト削減と成長投資という二極面の動きは、荷主企業の物流戦略においても顕著に現れています。近年では、コストダウンを目的とした、物流コンペを開催する荷主が急増しています。力のある物流業者、1社ないし数社へ業者集約する動きも、顕著に見られるようになってきました。また、総合的な物流コストの削減を視野に入れ、3PL事業者へアウトソーシングをする荷主企業も目立ちます。貨物輸送量の減少など物流市場の規模縮小に反して、3PL市場は一貫して拡大の一途を辿っています。

 物流コストの削減を目指し、単に物流単価の値下げを追求していると、必ず限界が来ます。また、輸送・保管・荷役といった、部分ごとの改善によるコスト削減にも、大きな成果は望めないでしょう。物流分野においても、やはり、成長投資を考えるべきなのではないでしょうか。物流分野における成長投資の一つとして、徹底した3PLの構築が考えられるでしょう。【図4参照】
    
 今求められているのは、物流の改革です。従来の荷主管理領域をも含める、統合的な物流マネージメント、流通SCMを考えるときなのではないでしょうか。そして、抜本的な物流改革を行うことは、企業の成長を支える土台作りに繋がるものと考えます。 即ち、物流業界、荷主側双方の現況を見ると、今正に、本格的3PLが定着していく過渡期にあるといえるのではないでしょうか。求められているのは、荷主にとって真のパートナーとなれる3PL事業者です。

【図4 3PL市場規模のトレンド】
3pl_03_04
(出所:ライノス・パブリケーションズ 『月刊 ロジスティクス・ビジネス 2008年9月号「特集日本の3PL市場2008」』2008年9月1日)

3.3PL事業者の選び方 

 3PLへの可能性を述べたところで、3PL事業者とパートナー関係を築くことで得られるメリットと、信頼できる3PL事業者を見極めるポイントを、考えてみたいと思います。 
 
近年、物流分野においても、「見える化」という言葉が頻繁に使われるようになっています。本来「見える化」という言葉には、企業活動の実態を明確にし、そこから思考と改善を図る、という一連のプロセスまでが含まれているはずです。つまり、意図的に何を見るか、何が知りたいのか、を踏まえた上での「見える化」が必要なのです。
 
物流KPIなど、管理指標を取るシステムを作れば、「見える化」することはそう難しいことではないでしょう。肝心なのは、そのシステムに蓄積されたデータを有効活用する為の、運用上の工夫です。即ち、机上論に留まったコンサルティングではなく、物流実務遂行に裏打ちされたコンサルティングが必要なのです。そのためには、物流実務の経験と専門的知識を持ち、荷主が抱える問題に対する解決策を編み出すための「見える化」を提案し、実行できるようなコンサルティング業者を選ぶ必要があるでしょう。私どもが考える3PL事業者選定の基準として、4つのポイントを挙げてみました。
 

①提案力

物流現場での豊富な実績を活かし、戦略構想から実物流まで、一貫したコンサルティングができる。

②運営力

例えば、安全対策・人材育成・環境保全への徹底した対応など、物流現場における、生産性と品質を高めていくノウハウが、しっかりしている。

③情報システム力

PDCAサイクルでの、サプライチェーン統合管理を実現するIT技術が、確立されている。

④信用力

全ての業種に共通の、物流システムの基本に精通している証明として、包括的な業務受託の経験と実績を、兼ね備えている。

どんな業種においても、技術力を武器にした仕事は、その畑の最先端を行くものです。机上コンサルティングに留まった俄企業では、本当の3PLを実現することは難しいでしょう。成長投資の一部として物流改革を図るならば、適切な3PL事業者の選定が鍵となってくるのではないでしょうか。  

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