物流契約について:できるだけ詳細な契約書を予め作成すべき時代に

はじめに

物流契約には様々な料金体系があります。従価制・従量制は代表的なもので、この費用を算出するにあたり、様々な条件(物量、商品単価、納品条件等)があり、それをもとに運用方法や使用設備を検討・導入し契約を締結しています。

物流センター設備について

前述のとおり、使用設備については様々な条件を考慮し最適なものを導入していますが、条件変更になった場合、センター設備はどうしたらよいのでしょうか。

近年は、業務提携やM&A等により企業規模ががらりと変わり、それに伴い物量が増加し今までの設備では対応できなくなることが多々あります。そこで、物量分析を行い、追加設備あるいは新規設備の検討・導入となる訳ですが、ここで問題となるのが契約年数です。

物流事業者にとって、契約期間が短い中での投資回収を考えると躊躇するのではないでしょうか。お客様との関係が良好でこれから何年も先、契約が継続していくのであれば、設備投資も躊躇することなくできますが、現在の経済情勢を考えるとお客様も物流体制の見直しを検討し始め、良好な関係ではあるが、既存業者に捉われることなく、新たな物流事業者を探し始めます。

物流事業者は初期導入設備については、償却やリース期間を契約年数に合わせることが前提となることが多いですが、追加設備は契約(残)年数に合わせようとすると費用が高くなってしまいます。費用を抑える為、契約(残)年数よりも長い期間の償却・リース期間とする場合があります。

では、物流事業者として、物量増に対応し設備増強を図りながら、契約満了後の償却・リース残存費用をどう考えていけばよいのでしょうか。

契約による設備償却・リース残のパターン


【例:5年契約+2年更新の場合】

上図パターン①の場合、追加設備もなく、契約満了を迎えていますので問題ないと思います。パターン②の場合、契約期間内の解除・解約であるので、残存費用はお客様負担となります。但し、物流事業者側都合の場合、費用負担をお客様側に請求はできません。

パターン③および④の場合、契約満了となっていますが、追加設備・設備入替を行った為、残存費用を誰が負担するかが問題となってきます。お客様側からすれば、「契約満了を迎えているのだから、追加設備の残存費用は払う必要がない」、物流事業者からすれば、「追加設備はお客様の物流増に対応する為に投資したのだから残存費用は貰います」といった話が聞こえてきそうです。

こういったことを回避する為にも、契約書・覚書には追加設備の残存費用負担についての文言を必ず入れておくべきでしょう。(忘れがちになる傾向があります)

また、当たり前のことですが、ちょっとした設備追加でも、必ず双方が協議し納得した上で導入を決めなくてはいけませんし、設備一覧表等の明文化したものを残しておくべきでしょう。

更に、長い付き合いとなると、担当者間での口約束で決定しまうこともあると思いますが、担当者が変われば考えも変わる為、一つひとつ契約を締結すべきです。

最後に

先日、ある米国外資系企業の方に話を聞きましたが、倉庫を借りるだけでも、契約社会の米国では契約書が数十ページにもおよぶとのことです。

これは何を意味しているでしょうか。

様々なパターンを想定し、「この場合はこうする」・「あの場合はこうする」といったことを出来る限り明文化し、契約書に盛り込んでいるそうです。

こうすることにより、万が一のトラブルにも対処できるのではないでしょうか。

グローバルな時代、世界相手に戦っている企業も多いと思いますが、契約内容を良く吟味し、双方納得した締結をしていただきたいと思います。

(文責:第2グループ①(杉本、細川、赤堀、段坂、三樹)

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