美しい業務フローの書き方

548号を担当いたします伊藤です。

 複数のメンバーで色々な業務フローを作成する機会が多いのですが、同じフォーマットを利用しているにも関わらず、作る人によりぱっと見の印象が全く違うものになってしまうことがよくあります。全体的に見づらい感じになっていたり、なんとなく貧相な感じになっていたり、統制がとれていなかったり、いろいろパターンはあるのですが、まとめて表現すると「見栄えが悪い」フローになっているということです。

 業務フローを作成する目的や作り方のルールなど情報はネット上に溢れていますので、本稿では「いかにして美しく業務フローを作るか」に特化した内容をお伝えしようと思います。一般的な業務フローの作り方と異なる部分もあるかと思いますが、経験則からの、ある意味偏った説明になることをご容赦ください。

1.使う図形は3種類まで

フローで使用する図形はそのイベントによって使い分けるのが一般的ですが、いろいろな形の図形をひとつの枠に収めてしまうとバランスがとりづらくなり、結果としてフローの見栄えが悪くなってしまいます。使う図形は少ない方が統制をとりやすいので、以下の3つの図形だけで業務内容・業務のつながりを表現するようにします。

四角

 プロセス(作業)を表現します。手作業であろうとシステム処理であろうとこの図形を使用しますが、PCを利用した作業を行うプロセスの場合は四角の横にPCのアイコンを置き、そのアイコンの下にシステム名を記載することでより作業内容が明確になります。

ひし形

 判断を表現します。YESかNOか、AかBかなどの分岐が発生した場合に使います。おのずとひし形から2本の線が出ますので、その線上に分岐の内容(どちらの線がYESか等)を添付するとさらにわかりやすくなります。

ホームベース形

 接続・結合を表現します。前のプロセスに戻る場合や、別ページのプロセスにジャンプするときに利用します。プロセスの配置により線が重なってしまう場合がありますが、重ならない方が綺麗にまとまるので、この図形を利用して線の重なりを防ぐこともできます。

2. 使う線は2種類まで

プロセスの間を結ぶ線の種類は、後工程への連携方法により線種を使い分けることでフローに濃淡が生まれ、全体的なのっぺり感を無くことができます。

実線

 単純なプロセス間の連結に利用します。「このタスクが完了したので次のタスクにつながる」といった単純な結びつきを表現します。

点線

 違う場所からの連結を表現する際に利用します。例えばお客さんから注文をもらう場合や、物理的に離れた部署に何かしらの帳票を送る場合などが該当します。線上に伝達方法(メールやFAX)・使用媒体(紙やマイクロソフト社のEXCELファイル(以降EXCELと表記))などの説明分を添付するとよりわかりやすくなります

3.図形のサイズは変えるな

 プロセスを表現する四角の図形ですが、よく見るダメな例として、四角の中に作業内容を文章で記載してフローを作成してしまう方法があります。プロセスにより図形のサイズが変わってしまうことで統一感が無くなり、見栄えが悪くなってしまう典型的な例です。

 図形のサイズは固定化して、プロセスの説明はそのサイズに収まるよう体言止めで記載することをお勧めします。

 プロセスの詳細については業務内容を説明する枠を準備し、図形の内部にはその業務内容を簡略化して記載する方法が良いと思います。個人の好みになりますが、私の場合は四角のサイズは縦1cm、横4cm(フォントサイズは10pt)でサイズを統一するのが一番見栄えがいいです。

 補足として、EXCELでフローを作成する際、表示倍率を変えて作成したり別のPCで作成したりするとサイズが変わってしまうエクセル固有のバグがあるので、できる限り同じ環境でフロー作成することをお勧めします。

 判断を表現するひし形についてもサイズを統一しますが、ひし形の中に入れられる文字数は限られますのでひし形の右上あたりに判断内容を別枠で記載します。

※ちなみに私の好きなひし形のサイズは縦1cm、横1.4cmです。

4.オブジェクトの整列を多用せよ

 EXCELやマイクロソフト社のVISIOにある標準機能の整列ツールを利用して図形を上下左右に揃えることは当たり前ですが、忘れがちなのは上下左右の間隔を揃えるという作業です。「上下に整列」や「左右に整列」することでフローの見栄えが格段に上がります。複数人数で別のフローを作成する際にはこの上下左右の間隔のルールを決めておくことで誰が作っても同じ印象のフローを作成することができます。

 この整列の作業は、まず粗々でフローを一通り作成した後にまとめて行うことをお勧めします。

 簡単になりますが今回の説明は以上です。業務フローをわかりやすく、綺麗に作成するテクニックはこの他にもいろいろありますが、上記の内容を押さえることでかなり分かりすく、美しいフローが作成できると思います。フロー作りは経験の積み重ねが重要なポイントなので、常に高みを目指して数をこなすことで理想の業務フローに近づけると思います。

(文責:伊藤 和城)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第548号 2024年9月25日)

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