「物流の人材を確保するために」(その3)

多くの企業が取り組むようになった「健康経営」ですが、これはフィジカル面での健康状態を大切にすることだけが本来の目的ではなく、個々人の幸福度を上げていくことが最終目的とされています。株式会社日立製作所フェロー兼未来投資本部ハピネスプロジェクトリーダーの矢野和男氏は、現代社会では、個人のヘルスケアに対するツールや仕組み、設備、制度等は確立されているものの、組織のヘルスケアに対処できるものがないとの問題意識から、「ハピネスプラネット」というアプリを開発しました。

このアプリは、長年にわたり人間の幸福度を定量的に測定して得られた膨大なデータをもとに、個々人の幸福度を向上することができるツールとして開発されました。とはいえ、そもそも「幸福度」自体が曖昧なものであり、それを個人がどう感じているなど、定量的に測定が可能かどうか、さらにそれがビジネスにどのような影響を与えているかなどは、到底把握できないのではと想像していましたが、どうもそうではないようです。

矢野氏をはじめとした世界中の「幸福」の研究者による見解では、私達の幸せを構成する要因には、2つあるそうです。1つは、ボーナスのように一時的に喜びや快楽をもたらすもの。ただし、これは短時間に元のベースラインに戻ってしまう要因です。もう一つは、より持続的に幸せのベースラインを向上するもの。これは、日々の行動習慣が決めていることが分かっており、特に、日々前向きに自分なりの挑戦をする習慣が大変重要です。この習慣を、心理学では「心の資本」(あるいは心理資本)と呼ぶそうです。この「心の資本」は大変重要で、何か行動を起こす上において必要な「お金」「スキル」「関係性」という3資本のベースになると言われています。

更に、「心の資本」が豊かな人には、次の4つの要素が備わっているそうです。
1.Hope(希望):目標に向けて解決の道を見つける力
2.Efficacy(自己効力感):自分の能力・貢献に対する自信
3.Resilience(レジリエンス):困難があっても乗り越えられるという自信
4.Optimism(楽観性):物事の明るい面を見る前向きさ

矢野氏が開発した「ハピネスプラネット」は、この4要素(頭文字を取ると“HERO”)に影響を与える行動習慣をサポートするアプリとして利用されており、昨年7月に株式会社ハピネスプラネットを設立するに至っています。すでに丸井グループなど、同アプリを導入して社員の幸福度を向上させようという取り組み事例も多々あり、その効果が業績に現れていることも実証されています。

前回のばんばん通信で、社員が会社に対するエンゲージメントを高めることが重要であることに触れました。先の「心の資本」が豊かな人は、決して個々人で努力した結果備わったのではなく、人と人とが関わりの中で備わっていったということも検証されており、まさにエンゲージメントを高めるための会社組織に、どのような文化が求められるのかを示唆しています。次号でこのあたりをもう少し掘り下げたいと思います。

(文責:貞 勝利)

【参考資料】
株式会社ハピネスプラネット https://happiness-planet.org/

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第456号 2021年6月23日)

 

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