物流の人材を確保するために(その4):組織のあり方について

はじめに

「物流の人材を確保するために」と題して、これまで3回に渡って連載してきました。会社と社員との関係性において重要なのは、従業員満足度よりもエンゲージメントです。そのエンゲージメントを高めるためには、まず社員の幸福度(心の資本)が重要であり、前号で紹介した株式会社ハピネスプラネットによると、それは人と人との関係性の中で構築されていることが、既にデータとして検証されています。

そして、これらを踏まえて、従来の組織の在り方を見直すことが求められてきていることに触れました。本号では、この「組織の在り方」について述べてみたいと思います。

変化への不適応、自立性の低下、やらされ感をどう排除するか

従来の多くの会社組織においては、主に次のような仕組みでビジネスを行ってきました。

1.計画に従ってPDCAを回す
2.仕事は標準化し、横展開する
3.人の誤った判断を内部統制で防止する
4.従順な人づくりや設備に投資する

これらの仕組みの中で、会社組織は、様々なルールや手続き、報告、指示によって管理し、出てきた成果に対して数値評価、信賞必罰を行ってきました。しかし、それによって生み出された悪弊として、変化への不適応、自立性の低下、やらされ感などがあったのも事実です。

こうした仕組みが、ここにきて、最新テクノロジーの著しい進展や社会構造の変化には、十分に対応することができなくなりつつあります。そこで、これからの新たな組織には、先の仕組みを継続しつつ、次のような仕組みも適用する必要が出てきていると考えられます。

1.実験と学習を繰り返す
2.目的のために、手段を柔軟に見直す
3.自己完結的な機動力を持たせる
4.前向きで自律的な人づくりに投資する

こうなると、会社組織におけるマネジメントも当然変わります。この新たな仕組みに共通しているのは、「挑戦型」であるということです。これまで述べてきた、社員一人一人の幸福度を向上させ、エンゲージメントを高めるためにも、より多くの社員が「挑戦」することに意欲的な組織にしていくことが、結果的に生産性も向上させていくことに繋がっていきます。先に紹介したハピネスプラネット代表の矢野氏は、様々なデータから、一日2%の新たな挑戦で、幸福度が上昇すると述べています。

デジタルネイティブといわれる新たな感覚を持ったZ世代が闊歩する時代に入りました。より多くの企業が、理想とされる会社組織を構築して、物流業界への絶え間ない人材の流れができることを切望して、このテーマの連載を終えたいと思います。

(文責:貞 勝利)

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(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第465号 2021年10月27日)