第2章 環境対応車概要
コスト
下記の表では、ディーゼル車、ハイブリッド車、CNG車を比較しております。
前提は、2tトラックを新規に購入する場合を基準とします。
<環境対応車別評価 -2t車トラックモデル->
[ディーゼル車を基準(〇)とした場合の比較]
1.100km走行時のCO2排出量の比較(2t車ベース)(燃料法で算出)
2.20tの物量を100km輸送する場合のCO2排出量の比較
(燃費が不明なため改良トンキロ法で算出)
①ハイブリッド/CNG車は、積載量の実態より4t車で5運行する。
②ディーゼル車は、20t車1台で輸送する。
3.2t車を10年使用した場合のコスト差
第3章 まとめ
結論として物流事業者にとって適した環境対応車はディーゼル車ということになります。但し、環面を考慮した場合、小口輸送についてはCNG車という選択もあります。
①ディーゼル車:ディーゼル車は「黒煙を上げて環境に悪い」とイメージされがちですが、前述の通り、規制強化とメーカー努力により、格段に環境に優しい車となっています。
また、車種が豊富で小型車~大型車はもちろん、特殊車両もあります。多様化している顧客ニーズに対応するためにも、車種が豊富なディーゼル車は物流事業者にとって無くてはならない存在です。
②ハイブリッド車:乗用車では脚光を浴びておりますが、貨物車としてはまだまだ浸透しておりません。初動時に充電された電気で動き出しますが、高速移動時等はディーゼル動力で走行します。駐停車の多い都市部では効果を発揮しますが、長距離輸送ではディーゼル車より評価を下げざるを得ません。燃費・燃料価格の違いによりコスト面ではCNGに勝るものの、環境対性能はCNG車より劣るため、貨物輸送という点においては課題を残しています。
③CNG車:同積載量の場合、CNG車が、環境対応力(NOx・PM、CO2の排出量)で優れています。しかし大型車が市場に殆ど出回っていないため、大型貨物や大ロット輸送等には適応しておりません。
④トラックにおけるその他のCO2削減の取り組み:物流事業者として大切なことは、燃費向上に向けた技術革新を自動車メーカー任せにせず、積極的に燃費向上に向けた取り組みをしていく必要があります。 燃費向上策として、下記のような取り組みがあります。
1)エコドライブ
燃費は車両能力以外に、ドライバーの技術も大きく影響します。アイドリングストップやデジタルタコグラフを使ったドライバーへの注意喚起、エコドライブ研修等による省燃費運転技術の取得等により、更なる燃費向上が可能です。
2)エコタイヤ
エコタイヤは、タイヤの転がり抵抗をできるだけ低減することで燃費を向上させる技術です。エコタイヤにより燃費が4%程度改善されるというメーカー測定値もあります。
3)省燃費オイル
省燃費オイルは普通のオイルよりも粘度が低いオイルを使用することでエンジン内部の摩擦をおさえ、燃費を向上させる技術です。省燃費オイルにより燃費が2%程度改善されるというメーカー測定値もあります。
4)その他(モーダルシフト、共同配送等)
モーダルシフトにより、エネルギー使用量の大きいトラックから鉄道や船舶に切り替えることで、CO2排出量は格段に削減できます。また共同配送によるトラックの大型化、積載率の向上を行うこともCO2削減に寄与します。物流事業者にとっては、環境面での最適な輸送手段を選定できる力を身につけ、荷主企業のCSR強化も視野に入れた質の高い提案を行うことも必要不可欠です。
最後に
最後に、先日、日本政府は2020年までの温室効果ガス削減の中期目標について、2005年に比べて15%削減(京都議定書の1990年比-6%に対して、今回の目標は1990年比-8%)という目標を打ち出しました。
この目標を達成するためには、国民一人一人が環境意識を高めて行くことが必要です。また企業の社会的責任としては、率先した環境対策を行い、国民の信頼を得ることです。大半の企業では、その事業活動を営むに当たり、物流は切っても切り離せ無い存在です。今回は「環境対応車」について述べてきました。日本の国内物流の中心はトラックであり、「トラックのCO2排出量の削減=物流における環境対策」と言っても過言ではありません。
今後、更なるCO2排出量削減に向けて、国、地方、企業、個人の取り組みがますます重要になってくるでしょう。
センコー(株)では滋賀に「クレフィール湖東」という交通安全や運転技術を習得するための研修施設を有し、エコドライブ(省燃費運転)研修など多数開催しております。他社からの利用も可能ですので、是非ご活用ください。
(文責:奈須、三樹、浅見、森田、狭間)
[出典]
社団法人 日本自動車工業会 『日本の自動車工業-2008年度版-』
国土交通省HP https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/09/090325_.html
社団法人日本ロジスティクス研究所 『物流とロジスティクス』
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