物流品質を管理するための基礎知識

1 品質管理とは
品質管理(QC:Qualty Control)は、一般的に使われるようになって時間が経つのですが、近頃でもよく取り上げられます。
近年、耐震偽装や食費偽装など品質に関して様々なニュースがメディアによって取り上げられていることは、皆さんご存知かと思います。これらのニュースの中でよくあるコメントや文章が「品質管理が不届き」や「品質管理の徹底不足」といったものがあるかと思います。
この品質管理とはいったいどういう意味なのでしょうか?

国内外の多くの識者によっても定義づけられていますが、JISでの定義によると品質管理とは、 「発注者(注文者)の要求に対する品質や製品を、合理的かつ経済的に生み出すための手段や手法の検討」(JIS8101:1991年改定により撤廃)となっています。
この定義を物流に置き換えて考えてみると、定義の中にある発注者(注文者)とは物流事業者の顧客(=メーカー・小売事業者等の荷主、一般消費者)に置き換えられると考えられます。つまり、「物流事業者は顧客に対して、顧客の要求する物流品質を合理的かつ経済的に生み出すための手段や方法の検討をすること。」これが物流における品質管理であると言い換えることができます。

品質管理の手法や進め方については、様々な書籍やセミナーで多く語られているので、詳細は省略しますが、流れを簡単にまとめると、

1)データ収集・整理による全体像の把握
(基礎データをヒストグラムや散布図でグラフ化し、特性の把握等)
2)対策すべき課題の選定
(チェックシートを用いた課題別評価等)
3)原因把握と対策の検討・計画
(特性要因図等での原因把握と、スケジューリング)
4)実施と標準化
(管理図による実施状況の進捗確認・効果算定)

大きく上記の1)~4)の順でQCを進めること(=QC活動)になると考えられます。またこのフローは科学的問題解決と表現され、近代的管理技術の一つと言われています。
この際に、特性要因図やヒストグラム、チェックシート等のQC7つ道具を用いて、進めます。このQC7つ道具を使うメリットとしては、

1)簡単に、誰でも扱うことができる
2)図や表で示され、見るだけでも理解することが容易
3)問題を選ばす、使うことができる
4)QC7つ道具を使うことが科学的問題解決になる

上記の4点が挙げられます。特に、簡単に扱える点や、問題を選ばない点は多種多様な作業や管理が存在する物流事業においては大きなメリットであるといえます。
また、このQC活動を推進することで物流品質の改善・向上、そして、顧客満足度の向上が期待できます。

2 物流事業におけるQC活動のポイント
QC活動が非常に有用であることはここまでで、多く述べてきました。
それでは、物流事業においてQC活動を導入・推進する際のポイントについて考えてみたいと思います。

まず挙げられるのは目的の共通認識というものです。
QC活動を行う際、個人で行うこともあるかもしれませんが、多くは複数人でのチームによって推進することが大多数だと考えます。なぜなら、物流事業を運営する際に、個人で賄うことよりも、担当業務を区分化し1つの業務を遂行することが多いため、QC活動を進める際にはそれぞれの担当者を協力して進めることが必要であるためだからです。
そのため、QC活動を進めるチーム内において、その目的や考え方を統一し、ひとつのベクトルとして進めることは非常に重要であることだと考えられます。非常に基本的なことですが、ここでベクトルの方向性が1つにならないと、結果として期待したものが得られないことになるかもしれません。

次に、期日や責任者の明確なスケジューリングが挙げられます。
これは、QC活動を進めるための項目ごとに期日を明確にすることで、進捗状況の管理・把握を行いやすくするためです。さらに、項目ごとの担当者も明確にしたスケジューリングを行うことで、責任を持ってQC活動を進めて行くことが期待できます。また、QC活動を推進する担当者たちも日々、担当業務を持っている方が多いと思います。そのため、担当業務に追われQC活動が後手にならないようにするためにも、明確なスケジューリングでQC活動の推進者たち自身が確認できるようにすることが重要です。

最後に挙げられるのが、標準化と定着です。
QC活動を推進している途中や、終了直後では期待した効果が得られているのに、時間が経つにつれ、また以前に状況に戻っていたりした事例を目にしたり、聞いたことが多くあります。これは、QC活動のゴールをスケジューリングに従って進め、得られた結果が満足いく。ここまでをゴールとしているために起こる状況ではないかと考えられます。物流にかかわらず、仕事の多くは変化するものが多くあります。運用方法そのものの変化による場合は、QC活動をやり直す必要があるかもしれません。しかし、運用方法に劇的な変化がないのに、効果が薄れている場合は、一度、運用方法が標準化されているか?さらには標準化された運用方法が正しく定着しているのか確認する必要があります。

上記の3点に加え、チーム全体が積極的に参加できる様な、活動の工夫はもちろんのこと、日常の担当業務以外の項目をQC活動では担当することも異なった観点で業務を見つめ、課題や改善点、その対策を発見できるかもしれません。

3 まとめ
ここまで、QCの考え方とその活動のポイントについて述べてきました。まとめると、物流においてQCとは、
・顧客の要求する物流品質に無駄なく応える手段/方法を検討すること
・物流品質の改善/向上に加えて、顧客満足度も向上させるための活動
この2つにまとめられると思います。
また、この2点を達成するためのポイントとして、目的の共通認識と明確なスケジューリング、標準化と定着を挙げました。設備やシステムに頼る前に、これらのポイントをおさえ、QC活動を推進することが実は物流品質の向上や顧客満足度の向上への解決の糸口なのではないでしょうか?
さらに、ここまでの述べたQCの考え方や手法以外にも、「PDCAサイクル」や「事実に基づく考え方」、「重点指向」等、QC活動の進め方や考え方に沿って取り組める手法も多くあります。これらの手法をより効果的により深く使いこなしていくためにも、今一度QCの考え方について、学ぶ価値は十分にあるのだと思います。

 (文責:第2グループ 段坂)

【参考文献】
JIS-8101(1991,改定により撤廃)
藤田 薫 「QCサークルのための問題解決法」:日科技連出版社(1989)
杉浦 忠・山田 佳明 「QCサークルのためのQCストーリー入門」:日科技連出版社(1991)
宇野 修「「売る」ロジスティクス品質の創造」:白桃書房(2003)

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