物流データ分析で活用できるピボットテーブルの使い方

物流総合効率化法とデータ分析

 2024年5月に改正された流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)により、さまざまな物流管理や効率化計画を策定することが求められるようになりました。物流を持続可能な形で維持することは今日において社会課題であり、物流事業者だけでは解決できない事項に発荷主も着荷主も協力しなければなりません。そこで必要となってくるのが物流データ分析です。出荷先ごとの配送量を比較した効率的な配送計画を立案し、運送会社ごとの輸送回転数や積載率を算出して現状を捉え、効率的な配送ができるように物流事業者と協力して改善に取り組んでいくことが求められます。また、出荷推移表(月ごとや日ごとの出荷量、運賃、平均輸送距離などを記録)を使うことで、季節ごとの物量の変動を把握し、適切な人員配置や車両手配を計画するなど、データ分析を行うことは必要不可欠です。

 しかし、これらの物流データは行数が多く(数千行から数万行に及ぶこともあります)、手作業でデータを集計するとかなりの時間や手間がかかる上、ミスの原因にもなります。そこで、今回おすすめする便利な手法として、『ピボットテーブル』をご紹介します。

ピボットテーブルとは?

 ピボットテーブルとは、マイクロソフト社のエクセルにあるデータを簡単に集計できる機能です。元データを変更せずにさまざまな視点で大量のデータを瞬時に集計・分析ができ、業務の効率化につながります。

 例えば、次のようなデータがあるとします。

 このようなデータが100件、200件…と増えてくると、手作業での集計は非常に大変です。しかしピボットテーブルを使用すると簡単に集計することができます。

ピボットテーブルの作成手順

STEP1:ピボットテーブルを挿入する

1.集計したいデータ範囲を選択する。

2.[挿入]タブ → [ピボットテーブル] をクリック。

3.[新規ワークシート]を選択し、[OK]をクリック。

STEP2:フィールドを設定する

 ピボットテーブルのフィールドには、次の4つのエリアがあります。

・行ラベル: 縦方向に分類する項目

・列ラベル: 横方向に分類する項目

・値: 計算・集計するデータ

・フィルター: 特定のデータだけを抽出したいときに使用

 例えば、次のように設定すると「運送会社ごとの出荷量と運賃の合計」が集計できます。

・行ラベル: 運送会社

・値: 出荷量(kg)、運賃(円)

 以下のような表が自動的に作成されます。

 このように、手作業では時間がかかる集計がたった数クリックで完了します。

 集計方法は、値セル上を右クリック → [値フィールドの設定] で、「合計」以外にも、「平均」「最大・最小」「カウント」「比率」など、さまざまな値に変更でき、より柔軟にデータ集計を行うことができます。

 また、ピボットテーブルの元データが追加・修正された場合、 [データ]タブの[更新]ボタンをクリックすると、最新のデータが反映されます。

 「物流管理でエクセルでのデータ集計が大変…」と感じている方は、ぜひピボットテーブルを活用して物流改善を行い、社会課題の解決に貢献いただければと思います。

(文責:高橋)

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