物流企業として真価が問われる営業部門の災害時対応:東日本大震災時の3PL企業の事例

災害時の物流企業は営業部門の対応も重要

東日本大震災が発生して一ヵ月が経ちました。被災地では復興が始まりつつありますが、数年単位になるのではないかと思われます。物流企業においても倉庫の被災や配送網が寸断されましたが、現在では代替倉庫への引越し計画、通常配送サービスエリアの拡大が徐々に進んでいます。

震災時においては、車両・倉庫営業所等の実物流部門の対応は当然ですが、営業部門の対応の出来、不出来も荷主の信頼を得る面で重要と思われます。

当社は、あるメーカーの日用品の全国配送を3PL業者として行っていますが、東北、関東のSPが被災し、通常通り製品を配送出来なくなりました。今まさに起用している実物流事業者とともに物流の復旧に向けた対応の最中です。

災害発生時の対応

被災状況の把握、荷主への報告の速さが大切です。

3月11日地震発生の当日夕刻には、実物流事業者の営業マンより東日本各SPの被害状況の一報が関連メンバーにメール発信されました。電話が繋がったところについては、従業員の安否、倉庫の浸水・被災状況、保管製品の荷崩れの有無などの概要が明らかになりました。

物流現場では、刻々と変わる状況の中で迅速な判断や対応が求められています。被災地から離れた事務所では、一刻も早くその状況を把握したい気持ちがありますが、複数の担当者からの問合せはやめて、情報収集窓口を一つにして問合せをする事も大切です。

緊急物流体制構築時の対応

被災状況に応じた復旧の見通しを、より具体的に荷主に提示する事が大切です。

今回は、震災直後は停電や電話の繋がり難さから、断片的な情報しか集まらず、正確な事態把握と荷主への状況報告までに3日以上を要しました。倉庫内での保管製品の被災数量、配送可能エリア、復旧の目途の報告です。

この段階では、いかに当面策として代替物流手段を荷主に提供できるかが重要です。通常のトラックルートが寸断されたらルートの見直しだけでなく、JR、船も検討の対象となります。又、被災した倉庫の在庫不足、欠品に備えて、正常に稼働出来ている倉庫拠点から在庫を引当てて出荷する事を考える必要もあります。

通常物流体制への切替え時の対応

緊急物流体制から通常物流体制への切替えを計画的に進める事が大切です。

この時期になると高速道路、一般幹線道路の復旧とともに宅配、特別積合せ事業者の配送可能エリアが拡大していきます。物流現場においては、溜まったオーダーの中から優先出荷オーダーの要請がきて、その対応に追われました。一方、実物流事業者の営業マンは、復旧目途のたたない倉庫について、代替倉庫の選定、引越しの段取りを物流現場、荷主と調整しながら進めました。この様に物流体制の安定化に向けた取り組みが必要です。

おわりに

今回の大震災が発生してからその対応として出来た事、出来なかった事、関わったメンバー全員が反省として思うところが必ずあるはずです。今回の震災で対応した記憶が薄れないうちに反省として書き残す必要があります。災害時の対応を発生直後から復旧迄を時系列で数段階に分けて、段階毎に対応基準案の様なものとして整備しておく事です。

次の「未曾有」は来てほしくありませんが、その時に「想定外」と言い訳するのか、今回の教訓を生かせるのか、真価が問われています。

今後の物流コンペにおいては、災害時の対応について、どれだけ具体的に示す事が出来るかも、物流事業者選定の重要な要素となるものと思われます。

(文責:藤原)

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合せはこちら

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第123号 2011年4月20日)