今回は過去の記事から物流戦略について考えてみたいと思います。
物流戦略立案へのニーズ増加からコロナ禍を経て
2018年3月に「物流戦略立案へのニーズが増えている」と題して、以前からお問い合わせいただいていた物流診断に加えて、物流戦略立案のお問い合わせが増えていると取り上げました。労働力不足や新技術・新システムの導入などの環境変化をいち早く感じ取り、中期的な戦略を策定する必要性を考えた企業が多かったのではないかと思います。
そのような動きのある中、コロナ禍が到来しました。
2020年5月に「いま企業が抱える戦略的物流課題」と題して、コロナ禍に対してどのように取り組むべきかについて取り上げています。総合物流施策大綱にも「環境変化に対する課題」として取り上げられていましたが、物流戦略を策定し推進していても、環境の変化に合わせて見直すことが必要だということを改めて認識されたのではないでしょうか。
2024年問題の到来
いろいろな環境変化に対して、2023年12月に「新3PL時代の幕開け」と題して、環境の変化から求められる3PLのあるべき姿を取り上げています。ただこれは、3PLだけに求められているのではなく、荷主企業にも求められていることを理解することが重要です。荷主企業と3PLが戦略的にパートナーを組んで成果を上げることが求められていると考えられます。
これと同時期には、「物流の2024年問題」に注目が集まっていました。
今までコスト削減の対象という認識だった物流は、各社いろいろな施策を実行し、効率化が進んできている状況だと思います。しかしながら、物流部門の範囲を超えた施策は取られていないことが多いと思われます。物流担当者は、作り方を変えてくれたら、売り方を変えてくれたらもっと効率化できると考えたとしても、一部の企業を除けば物流を超えた(物流部門だけでなく、生産や販売部門と共同の)施策がとられてこなかったのではないかと思います。
そうしているうちに、2024年4月からドライバーの労働時間に関するルールが変更となりました。何もしなければ輸送力が不足するという推計が公表され、物流を止めないために国をあげた施策が推進されようとしています。
その中の一つが「物流統括管理者の選任」です。これは言うまでもなく、物流だけでなく、生産や販売もあわせて施策を検討することが必要であり、業界や消費者の商習慣をも変えなければならないということが示されたと考えています。
2024年10月には「高まる企業物流戦略の重要性とCLOの役割 ~競争力強化の為の戦略的アプローチ~」と題して、弊社からセミナー形式でこれらの内容についてもお話しさせていただきました。
セミナーの基調講演のタイトルは「物流は黄金大陸~眠っている黄金を見つけよう~」でした。ピータードラッカーは、「物流は最後の暗黒大陸である。」と表現したといわれていますが、経営の視点からすると黄金大陸であるというお話でした。このタイトルにある黄金を手に入れるためには、まず現状を把握し、なりたい姿とのギャップから取り組むべきことの抽出からスタートすべきです。物流での部分最適から、生産や販売を巻き込んだ全体最適を目指すことが求められています。そのためには、物流戦略、ロジスティクス戦略を見直し、もしくは策定し、早急に実行していくことが重要です。
(文責:中谷 裕治)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第560号 2024年12月18日)