前回は消費財(BtoC)マーケティングと産業財(BtoB)マーケティングのGAPについて書籍を例にしご紹介致しましたが、今回は少し深掘りし、産業財市場の特徴を中心にお伝えいたします。
マーケティングとは
本題に入る前に、そもそもマーケティングとは何でしょうか。この機会に皆さんも少し考えてみると面白いかもしれません。下記を見てもわかる通り、専門家でも見解が若干異なるようです。
- 企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動(日本マーケティング協会)
- 売れる仕組みづくり(グロービス『MBAマーケティング』1997)
- 人間や社会のニーズを見極めてそれに応えること。ニーズに応えて利益をあげること (P. コトラー)
- マーケティングのねらいはセリングを不要にすること。マーケティングのねらいは顧客を知り尽くし、理解し尽くして、製品やサービスが顧客にぴったりと合うものになり、ひとりで売れるようにすること (P. ドラッカー)
- マーケティングとは、顧客の満たされないニーズを見つけ、定義し、それに対してユニークなソリューションを提供することにより顧客価値を創造するプロセス(笠原英一)
それぞれの見解がとても示唆にあふれています。そんな中でそれぞれの共通点について、私なりに解釈するならば「顧客ニーズと自社製品(サービス)との間に橋を架けるような存在」ではないかと考えます。
それでは自社のマーケティング戦略を構築するためにはどんなことから着手すればよいでしょうか。
マーケティング戦略構築の第一歩は、「どこの市場のどのような顧客ニーズに対して、自社はどのような価値を提供するのか」を明確にすることです。その上で価値の提供を実現するための方法を検討しなければいけません。
ここでセグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(標的とする市場の決定)、ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)の3つの英単語の頭文字をとって名付けられたSTPや、Product (製品)、Price(価格)、Promotion(販売促進)、Place(立地、流通)の頭文字をとった4Pを活用することが多いでしょう。
以降ではSTPと4Pをまとめて「STP+4Ps」と呼びます。STP+4Psについてはご存知な方も多いと思いますので、今回はそれぞれの詳細についての説明は割愛します。
STP+4Psを活用してマーケティング戦略を構築する
さて、実際STP+4Psを活用してマーケティング戦略を構築する上で、無視できない要素があります。それは産業財市場の特徴です。消費財市場と比較すると、6つの観点で違いを整理することができます。今回はその一つである顧客の購買目的の違いについてピックアップして紹介します。
皆さんも日頃体感されていることとは思いますが、消費財ではより良い生活の追求が購買目的となります。それに対して産業財では自社の戦略実現(コストダウン、品質向上等)が購買目的となります。少しイメージが湧きにくい方は、輸送サービスを例に整理してみましたので、こちらも参考にご覧ください。
次回は引き続き産業財市場の特徴について説明した上で、マーケティング戦略構築ステップの全体像についてお伝えできればと思います。
(文責:野尻 達郎)
【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ『戦略的産業財マーケティング』笠原英一
『MBAマーケティング』グロービス
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(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第447号2021年2月10日)