558号を担当いたします西川です。
12月になり一段と冷たい風が頬を刺している日々が続いているかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。早速ですが、本稿では私が食品物流に携わってきた中で体験した、2つの重要問題と改善策について、紹介させて頂きます。
食品物流における2つの重要問題
問題1:温度変動による品質悪化
食品の流通過程では、適切な温度管理が、食品の鮮度と安全性を維持するために非常に重要となっています。特に夏場の輸送時などでの生鮮食品や冷凍食品は、温度が大きく変動しやすく、品質が急速に悪化し商品が解凍してしまうケースが多々発生しています。
原因
- 輸送中の温度変化
- 長距離輸送や物流センター間の移動中に、冷蔵・冷凍車両内の温度が一定に保たれないことが多々あります。発生事例としては、納品時にドライバーが店舗とトラックの行き来が多い場合に扉を開けっ放しにしてしまうことや、蓄冷剤などの未投入が要因で発生します。
- 保管時の温度管理不備
- 倉庫や配送センターにおいて、食品が適切な温度で保管されていないと、品質劣化が進行します。適正温度が保たれなくなる要因としては、冷蔵・冷凍設備の故障・メンテナンス漏れや貨物の過密配置により発生します。
改善策
- リアルタイム温度監視システム (温度ロガー)の導入
問題点として挙げた温度変動に対しての対応策として、ここでは温度ロガーの導入を
ご紹介します。温度ロガーの大きな機能として下記2つあります。
- 自動アラート機能設定温度を超えた際に、警報が鳴り、メールやSNSでアラートを送信する機能です。これにより、輸送中や保管時の温度変動に即時気付くことができ、柔軟に対処することが可能となります。
- 温度履歴の記録
- 温度ロガーには、一定期間の温度データを記録する機能が備え付けられている物があります。この機能を活用することにより、温度変動がどの時間帯、どの場所で発生したかを特定でき、現場において対策を検討することが可能になります。
- 温度履歴の記録
問題2:トレーサビリティの不備
食品の生産から消費者に届くまでの過程を追跡するトレーサビリティは、品質管理や食品安全を保証するための重要な仕組みとなっています。しかしながら、過去に重大な問題を経験していない企業では、トレーサビリティを優先課題と捉えていない場合があります。そのため、急なリコール対応などに柔軟に対応できず、消費者の健康リスクを増大させてしまう恐れがあります。
原因
- 商品特定の難航
- 食品物流では、リコールが多々発生します。原因としては、中身の商品規格が違い、パックの入数違い、肉などの部位違い、商品不良などです。この様な事象が発生した場合にトレーサビリティの確保を行っていないと、商品特定が大幅に遅れ消費者の健康リスクを増大させる恐れなどがあります。
改善策
- RFIDタグの導入
- RFIDタグの大きな機能としてロット番号、製造情報の検索機能があります。RFIDシステムを活用しリコール対象となった商品のロットや製造番号を基に検索をかけ、どの店舗に該当商品が存在しているか特定を行います。この機能により難航していた商品特定を迅速に行うことが可能になります。
本稿では、食品物流における現状の課題と、それに対する効果的な改善策として、温度ロガー、RFID、の導入について紹介いたしました。今回紹介した機能は一部分となっており、食品物流に限らず使用できる面が多々ある物だと思われます。また、食品物流に携わる中で一番重要なのが品質管理です。その中でコストをなるべく抑え、無駄な労力を発生させないためにも、デジタル技術の積極的な導入を検討してみてはいかがでしょうか。
(文責:西川 富覧久)
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