お世話になっております。552号を担当する比嘉と申します。
品質管理における「3H」とは
皆さんは、品質管理における「3H」という言葉をご存知でしょうか。3Hとは「初めて・変更・久しぶり」の頭文字を取ったもので、主に製造現場で使用される品質不具合事故を未然に防ぐための標語です。
一般的に、ヒューマンエラーはこの3Hが発生するタイミングで起きることが多いと言われています。つまり、3Hが発生するタイミングは、より一層の注意を払って業務を行う必要があります。
今回は、この3Hが発生するタイミングや対策について、倉庫業務に当てはめてご紹介したいと思います。この3Hについては様々な業種で広く浸透しており、すでにご存知の方も多いかと思いますが、今号が改めて振り返るきっかけになれば幸甚です。
1.「初めて」
「初めて」が発生するタイミングとして、新人作業者の入社や新しい荷主の入出庫業務の発生時などが挙げられます。このようなタイミングで注意すべき点として、まずは作業手順書を用意し、それを基にした確実な指導を行うということです。現場には手順書のない作業も多いかと思いますが、そのような状況をなくし、すべての作業を網羅した手順書を準備しておきましょう。 また、出荷作業において、新人が担当した業務の後工程をベテラン作業者が担当するなどの工夫により、万が一ミスが発生しても外部流出前に必ず発見できるような対策を講じることも有効です。
2.「変更」
「変更」が生じる場面としては、人事異動による作業者の配置替え、新たなマテハン機器やシステム導入に伴う業務手順の変更などが挙げられます。これらの場合、手順書を用いて、変更された内容を作業者に周知し、新しい手順を再度指導することが重要です。その為、マニュアルは常に最新の情報に更新しておきましょう。作業手順が変わった際には、作業者にその理由を説明し、理解を深めることで新たな手順が確実に浸透し、ヒューマンエラーの防止につながります。
また、その他の変更点として倉庫レイアウトの変更があります。レイアウトが変わった際には、ロケーション表示などを新しい配置に合わせて変更することを忘れないようにしましょう。誤ったロケーション表示に基づいてピッキングを行うと、出荷ミスや品質事故につながるリスクがあります。表示をわかりやすくし、誰が作業しても正確な場所を特定できるような職場環境を維持することが大切です。
3.「久しぶり」
「久しぶり」の状況としては、年に数回しか発生しない荷主の入出庫業務、産休や育休といった休職期間からの復帰した直後の業務が挙げられます。さらに、年末年始やGWといった長期連休明けの業務も注意が必要です。毎日実施する業務は、体が自然に覚えているものですが、少しでもブランクが生じると、作業者はなんとなくの記憶に頼って作業を行い、ミスを引き起こすことが少なくありません。作業者の中には、一度上司から教わった業務を再度確認するのをためらい、曖昧なまま作業してしまう人もいるでしょう。そのような事態を防ぐため、作業者が迷った際にはすぐに上司に確認できる体制を整えておきましょう。
おわりに
ヒューマンエラーを防ぐためには、手作業で実施している業務をデジタル化することが有効であることは間違いありません。しかし、コスト面や運用上の問題、人材不足といった様々な理由から手作業を完全に廃止するというのは非現実的かと思います。そういった中で、まずは「3H」に対して職場全体で意識を高め、定期的な確認や改善を通じて品質向上を目指していくことが重要です。
今日からでも、例えば「初めて」や「変更」に該当する作業がないか確認することや「久しぶり」に該当する業務の手順書確認や再教育の実施、倉庫内のロケーション表示が以前のレイアウトのままになっていないか確認するなどして品質を維持する体制が整っているか見直してみてはいかがでしょうか。
一つひとつの小さな改善が、ミスを減らし、品質事故の防止につながります。日常業務の中で3Hを意識し、品質向上につなげていきましょう。
(文責:比嘉 祥貴)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第552号 2024年10月23日)
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