ドラッグストアの物流業務の安定稼働支援の経験から
541号を担当いたします澤開(さわひらき)です。
私は、これまでドラッグストアの物流業務の安定稼働支援に携わることが多く、特に物流会社がドラッグストアの物流業務を受託した際に、センター安定稼働に向けた支援業務を行ってきました。今回は、物流会社が受託した物流業務のうち配送にまつわる部分として、店舗カルテの作成について取り上げます。
店舗カルテとは、商品を店舗に配送するドライバーに向けて、搬入ルート、納品ルール、納品位置、注意事項を記載した納品手順書のようなものです。
これまで私が物流安定稼働支援に携わったドラッグストアの多くは、店舗に商品が到着する前日中に物流センターで店舗別に商品を仕分けし、夜間から早朝にかけて店舗へ配送する流れです。そのため、ほとんどの店舗へは店員のいない営業時間外にドライバーが店舗内に商品を納品しています。店舗カルテは、ドライバーが戸惑うことなく納品業務を行なえるようにする役割があります。
店舗カルテの作成にあたっては、実際に店舗を訪問し、従業員に聞き込みを行いながら手順を確認していきます。このとき、荷主と納品条件を調整してきた物流会社の営業(+弊社)と納品の配車組を行う現場の担当で巡回し、二者の視点で納品時の特徴やトラブルになりそうな箇所を見つけ、注意事項として記載していきます。
店舗カルテ作成時に着目するポイント
店舗カルテ作成時に確認、注意事項として着目するポイントを納品場面ごとにご紹介します。
配送時
店舗カルテ作成時の店舗訪問は、実際の納品ルートに準じて巡回し、トンネルやガード下の桁高、道路幅、スクールゾーンの標識などを確認し、場合によって通行禁止箇所や迂回路を注意事項に記載します。
入場時(退場時)
トラックが店舗敷地内に入る際の動線や駐車位置を記載します。このとき、車輪を乗り上げてしまうような段差はないか、衝突リスクのある庇はないか、切り返しを行いにくい場所はないかなどを確認します。この確認次第で、想定していたトラックの車格を変更する場合もあります。
入店時(退店時)
営業時間外に納品する場合、ドライバーは鍵を開けて店内に入り、セキュリティを解除して商品を搬入することになります。防犯にかかわる部分になりますので、店舗から貸与される鍵の本数、店内のセキュリティ装置の解除と退店時のセット方法、納品事業者の立ち入り禁止の場所を漏れなく記載することが特に重要です。また夜間納品が中心ですので、店舗照明の点灯可否や照明スイッチの場所の記載も大切です。
納品時
商品の納品方法は、荷主と細かく取り決めしていることが多く、正確な納品位置の記載が大切です。「段ボールで納品する商品は、レジ横の○○番通路の手前側から」というように、通路番号など目印を表記するとスムーズな納品に繋がります。また、納品動線中に棚や特売ワゴンなど衝突するおそれがある物がある場合も記載が必要です。
回収時
ドライバーは商品を納品するだけでなく、返品商品や通い箱、前回納品の受領書などの回収も行います。店舗がそれらをどこに置いているか記載し、短時間で回収作業を行なえるようにします。
その他
夜間や早朝時間帯の納品業務ですと、騒音や振動で近隣住民とトラブルが発生するケースがあります。過去にトラブルが発生した事例を店舗担当者にヒアリングすることが重要です。トラブルを未然に防ぐために納品事業者側が注意して対応する事項を記載します。
ドライバーが安全かつ、確実、迅速に納品すること、店舗には無事に商品が届いていること、そして店舗の近隣住民が安心して生活できるよう、店舗カルテを作成しトラブルのない納品状態にすることが大切です。
(文責:澤開 慧)
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