DX時代における新聞物流の再検討-5 コースの集約にむけた設計のポイント2

前稿ではコース集約に向けた設計のポイントである輸送条件の検討(こちら)についてお伝えしました。本稿では、実際にコース設計をする際のポイント3点ご紹介します。

コース設計の型

まずは(1)コース設計の型について紹介します。新たな輸送コースは、下記2通りのパターンで設計することが想定されます。

(a)ゼロベース型(現状の輸送コースを考慮せず、輸送条件に沿った最適な輸送コースをゼロベースから設計する型)
(b)現状踏襲型(現状の輸送コースをベースに、おろし順の変更が少ないように設計する型)

(a)ゼロベース型については、輸送条件を大きく見直しができればコース集約の可能性が広がるため、その効果を最大限活用できるようなコース設計をすることができます。ただし、コース集約効果が大きい反面、ゼロから設計するため、新体制稼働時には輸送現場への影響が大きくなります。

輸送条件をあまり見直すことができず、現状と大きく変更することができなければ、(b)現状踏襲型でコースの設計を行います。(a)ゼロベース型に比べて集約効果は劣りますが、現状のコースからの変更が少ないため、新体制稼働時の輸送現場への影響が少なくなります。

輸送条件の検討結果を踏まえて型を選び、コース設計を進めていきます。

コース設計の検討方法

次に(2)コース設計の検討方法についてお伝えします。

コースをゼロから作成するとなると、膨大な時間を費やしてしまう可能性があります。担当者の経験や知識のみに頼ったコース設計では効果が限定的であるため、シミュレーションソフトを活用したコース設計を推奨します。

シミュレーションソフトを活用すれば、よりスピーディーにコースを作成することができます。その際に、様々な輸送条件(設定した店着時間より5分遅れることができる場合、15分遅れることができる場合、移動速度を速く設定した場合など)を設定してシミュレーションを実施することも可能です。

コース設計はトライアルアンドエラーの繰り返しです。輸送条件を決め、コース設計シミュレーションを実施し、結果を確認して、問題がある場合は輸送条件を見直し、再度コース設計シミュレーションを実施します。このように何度も検討を重ね、コース設計を進めていきます。

弊社では、AIを活用したシミュレーションソフトを使用し、ゼロベース型と現状踏襲型の両方でコース設計を行った事例があります。両方の型でコース設計を行い、効果と影響をそれぞれ比較することで、最終的により実現性の高いコースを作成することができました。

コース設計後のプロセス

最後に(3)コース設計後のプロセスを紹介します。

新たな輸送コースの概要が決定すると、各販売店との調整が必要になります。コース設計をした際に想定到着時間を算出し、販売店にその時間を伝え、問題ないかを確認します。販売店が想定到着時間を許容できない場合は、出発順の入れ替えや、おろし順を変更することで到着時間を調整します。時には販売店との粘り強い交渉が必要になることもありますが、全ての販売店から承認を得られるように検討を重ねることが成功へのカギとなります。

本稿ではコースの集約にむけたコース設計(輸送シミュレーションの実施)について説明しました。本稿の内容を実際のコース設計の参考にしていただければ幸いです。

次稿では(3)試走による検証・関係者等との最終調整について説明します。

(文責:三木 祥裕)

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