DX時代における新聞物流の再検討-4 コースの集約にむけた設計のポイント①

前稿ではプロジェクト体制の構築(こちら)についてお伝えしました。本稿ではコース集約に向けた設計のポイントである輸送条件の検討について説明します。現在の輸送コースを見直し、より効率的なコースを実現するためにどのような準備と検証が必要なのか、具体的なポイントを紹介します。

コース設計に向けて

コース設計の全体の流れは以下の通りです。

(1)輸送条件の検討
(2)コース設計(輸送シミュレーションの実施)
(3)試走による検証・関係者等との最終調整
(4)コース確定

コースの集約にむけた設計において、最も重要なポイントは、(1)輸送条件の検討です。

その理由は、輸送条件の設定がコース集約の成否に大きな影響を及ぼすためです。様々な観点から条件を具体的に決めることで、実現性が高く、より効率的なコースを作成することができます。その結果、コスト削減効果が最大化でき、プロジェクトの成功につながります。

コース集約で検討が必要な条件としては、発着時間の見直しや輸送車両の変更が考えられますが、今回は車両の積載可能量と販売店への到着時間に着目して説明します。

車両の積載可能量を検討する

まずは車両の積載可能量についてです。

積載可能量に関する検討を疎かにした場合、実走する際に荷物が乗り切らないといったような問題が発生するリスクがあります。また、弊社の過去の支援事例では、積載可能量に関する基準を見直すことで、コース集約数を増加できた企業があります。

実際に丸梱(新聞の1梱包単位)と荷台の寸法を測り、数値的に積算することで、正確な積載可能量を把握することができました。これまでの経験に基づく積載上限から、数値的な根拠に基づく積載上限に変更した結果、コース集約シミュレーションにおける条件を大幅に緩和でき、コース集約数の増加につなげることができました。

積載可能量の検討時の注意点としては、日によって新聞のページ数が変化するため、ページ数が最大になった場合の物量を考慮する必要があります。

到着時間の検討

次に着目したいのは販売店への到着時間です。販売店がどの程度遅れを許容できるかによってコース集約数が大きく変わってきます。

そのため、事前に各販売店に対して、現状の到着時間からどの程度であれば遅延しても問題ないかを確認しておく必要があります。少し手間はかかりますが、細かく確認を行うことでコース設計(輸送シミュレーション)での自由度を高めることができます。

本稿ではコースの集約にむけた設計のポイントである輸送条件の検討について説明しました。輸送条件の検討は、輸送効率化の成功のカギを握っています。今回説明した車両の積載可能量と販売店への到着時間は、コース設計に大きな影響を及ぼします。少し地味な活動ですが、粘り強く取り組むことで、最終的なコスト削減効果を高めることにつながります。本稿の内容を実際のコース設計の参考にしていただければ幸いです。

次稿では(2)コース設計(輸送シミュレーションの実施)と(3)試走による検証・関係者等との最終調整について説明します。

(文責:三木 祥裕)

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