前稿では新聞物流をめぐる動向についてお伝えしました。
本稿では、物流改革の方向性について、過去の事例を交えてご紹介したいと思います。
物流改革の初手は現状把握
物流改革を進めるにあたって、まず着手すべきことは何でしょうか。販売店との店着時間の調整や印刷工程の見直しに関する協議などその答えは担当者によってさまざまです。
新聞物流の再検討に限らず、私たちが物流改革を支援する際は現状の把握から着手することをお勧めしています。物流改革による効果を最大化するためには、まずは現時点での物流の実力値(コスト、品質、サービス)について、客観的に評価する必要があります。自社の現在地を正確に把握しないまま進めると、的外れな施策の立案や遂行に時間を浪費する結果になりかねないからです。
自社物流の「強み」や「弱み」について、世の中の流れと照らし合わせながら、将来の絵姿について検討する必要があります。前稿でも紹介した「YCお届け便」は読売新聞社が自社の物流の「強み」を活かして、宅配需要の拡大という「機会」に臨んでいる好例だと言えます。
また、ある企業では、先が見通せないVUCA時代の長期的な施策として、変化に対応していく物流統括組織を新設されたケースもありました。
短期的な視点での施策は、契約単価の価格競争力やコースの効率性を精査することで、検討の糸口が見えてくるケースが多いです。特にここ数年で発行部数が急激に減少しているため、定期的にコースの見直しを行っていない場合は、非効率になっているコースが発生している可能性があります。
契約単価の価格競争力やコースの効率性の調査について、自社だけでは検討が進まないケースを見受けます。現状調査や将来に向けた物流施策の検討を行うにあたり、物流の専門家を活用することも方法の一つと考えます。
このように自社の現在地を把握し、施策の方向性とスケジュールを固めた上で、冒頭で挙げたような店着時間の調整や印刷工程の見直しに着手するほうが無駄なく改革を進められます。次稿以降では、さらに一歩踏み込んで物流改革プロジェクトの実態と注意点について紹介していきたいと思います。まず次稿ではプロジェクト体制の構築に焦点を当てます。
(文責:野尻 達郎)
【参考資料】
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第469号 2021年12月22日)