SaaS (Software as a Service サース)について:物流業界における将来性と課題

「SaaS (サース)」とは

「SaaS(サース)」とは、「Software as a Service」の略で、ソフトウェアをユーザー側に導入するのではなく、ベンダー(プロバイダ)側で稼動しインターネット経由で必要に応じて機能単位にユーザーへ提供する仕組みのことで、電気や水道を利用するようにユーザーは必要なときに必要な分だけサービスを利用することができます。

身近なところでは、 Google検索やGoogleMapsがこれに当ります。(これらの場合は無償サービスですが。)

「SaaS」と「ASP」の違い

「SaaS」と似たものとして、「ASP(Application Service Provider)」と呼ばれるサービスがありますが、「ASP」は ユーザーの要望に合わせてサービスをカスタマイズすることが難しく、また「ASP」が登場した1990年代当時のネットワーク環境が現在に比べ低速で高価だったこともあり、ビジネスでの利用としてはあまり普及しませんでした。

しかし、近年ネットワークの広帯域化、高速化が進んだことと、技術革新によるサービスのカスタマイズも可能となったことにより、「SaaS」という新たな呼称のもとに、ビジネス適用も含めた新たな期待が高まりを見せるようになりました。

しかしながら、両者の違いについては、本質的な相違はないと思われます。「インターネット経由でのソフトウェア利用」という「SaaS」の基本コンセプトは「ASP」も同じであり、ただ「ASP」で課題となっていた様々な問題が、時間の経過とともに環境の変化・技術の進歩によって解決され、その重要性が飛躍的に増したことから、マーケティング的な観点で 「SaaS」という新たな名称で呼ばれるようになったのです。

従って、「ASP」と「SaaS」は別物ではなく、「ASP」の進化型が「SaaS」と捉えるのが適切ではないかと思います。

「SaaS」のメリット・デメリット

「SaaS」には、「初期投資が少ない」「バージョン管理が楽」「維持管理コストが削減できる」というメリットがあります。

全てのIT機能を社内のハードで実行する従来の「インハウス型」の場合、導入されるまでに数ヶ月要することも多々あり、またハード・ソフト共に多額の費用が掛かります。

それに対し、「SaaS」は、ソフトウェアをユーザー側で導入する必要が無い為、初期投資が少なくてすみ、また、「SaaS」はベンダー側が用意する最新のソフトウェアを常時利用できバージョンアップも不要となる為、維持管理コストが削減できます。更に、「SaaS」の場合、通常料金は従量制であることが多い為、使用した分だけを支払えば良いというメリットもあります。

一方で、自社でソフトウェア(情報)を持たないことにより、「情報を外部に預けることになる(情報漏えいの心配)」「自由に大幅なカスタマイズが出来ない。」「ネットワーク障害があると使えなくなる。」といったデメリットもあり、コスト面においても、「SaaS」は初期導入コストを抑えられますが、その後継続的に料金を支払う必要が生じます。

故に、今後「SaaS」を導入する企業の多くは、それほど差別化が必要ないシステムや迅速な立ち上げが必要な短期戦術的システム、試験的に稼動してみるシステムは「SaaS」化し、企業の差別化に直接結び付くシステムや絶対的な安定稼動が要求されるシステムでは従来の「自社保有型」を採用するといった、「SaaS」と「自社保有型」を共存させていくケースが増 えていくのではないかと思われます。

将来性について

物流業界においても、「SaaS」化によるメリットは大きいものがあります。 現在、物流業界は東南アジアとりわけ中国を中心としてグローバル展開が当たり前になっており、更にグローバル展開をしつつSCMなどと連携し、いかに国際競争力を維持するかがポイントとなってきています。

それに伴いグローバル且つ企業・部門間でのリアルタイムな物流情報の把握は必須となっていますが、物流情報が地域、企業、組織毎に分散したり、各所で情報の受発信の同期化が必要であったり、と実現へ向けていくつものハードルが存在します。

しかし、「SaaS」の普及によってそうしたハードルはなくなり、従来より比較的安価で、グローバルに展開された物流プロセスや情報を一元管理し、物流情報の可視化・最適化が実現可能となるのです。

しかしながら、物流業界に限らずあらゆる業界において、「SaaS」が今後日本で順調に拡大していくかどうかという事については少々疑問です。それは先に述べた様に「ASP」が普及しなかった過去もあり、各企業において「ASP」と類似した「SaaS」についても敬遠する動きがあるのではないかと思うからです。

またBtoBにおいては、通常、既存の商習慣から発生したシステムが存在しており、それから「SaaS」への乗換えというのは難しいのではないでしょうか。BtoCにおいても先 に述べた「SaaS」のデメリットにもあるように、個人情報保護の観点から「SaaS」の採用は難しい様に思われます。

よって、「SaaS」が今後更に拡大していくには、ベンダー(プロバイダ)側によって「SaaS」のメリット、及び 「ASP」との違いを明確にし、アピールしていく必要があるのではないでしょうか。

(文責:福田)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第10号 2008年12月3日)

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