物流現場の深刻な課題「ドライバー不足」をどう乗り越えるか:自動認識技術の採用も検討すべき時か

物流現場の深刻な問題

物流現場に調査等で出向くと、トラックターミナルにいるドライバーの高齢化が進んでいることに驚きます。現場責任者になぜかを聞いてみると、以下のような回答がありました。

「ドライバーの募集広告を出しても応募がない」
「やっと採用が決まっても、少しでも条件の良いところに行ってしまう」
「ましてや新卒などはまったく入ってこない」

地方都市の中堅物流企業にいたっては、高齢者ドライバーの姿さえも見られず、ターミナルには動かない(動かせない)トラックが停まっています。このようなトラック、ドライバー不足を受け、ある物流事業者の方からは運賃水準に関する潮目が変わったとの話題や、荷主から配送能力確保の要請がくるようになったとの話もあり、これまでにはないトレンドになっています。

国土交通省の自動車保有台数及び生産台数の推移調査では、トラック(含トレーラー)保有台数はこの10年で約16%車両保有台数が減少していて、輸送能力確保が荷主にとっても大きな課題になっていることが分かります。また貨物自動車運送事業者数(一般)は、ここ数年は事業者数が約5.7万社程度のレベルで推移しており、事業者数増加に伴う輸送能力拡大は期待できない状態になっています。

あの手この手でのドライバー確保

ドライバー確保のために物流事業者の中には新しい取り組みを始めるところが出てきています。例えば社員紹介制度などを取り、社員の知り合いが入社まで至った場合に紹介料として10万円支払うといった物流事業者も出てきています。定着率も良くなってきているとのことです。

再雇用制度を積極的に推進し、定年退職したドライバーを地場(近距離)配送で採用する物流事業者もいます。年齢制限は特になく、健康診断結果を一定基準でクリアすれば採用となるようです。

女性が安心して働けるように託児所を併設した物流センターもあり、好評を得ています。ただ女性は男性と比較して非力なところもあり、30項目にも及ぶトラックを動かす前の始業前点検などはハンマーなどを利用するため、それを理由に辞める女性もいます。これについては車輛部品にセンサーを付けて、ゆるみや劣化、損傷などを自動的に検知できる仕組みがあれば、女性の定着率も高くなるか可能性があります。自動運転だけではなく、自動認識技術の物流現場への適用も物流事業者は検討すべきだと考えています。

(文責:釜屋 大和)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第344号 2016年11月24日)

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