ANAの沖縄貨物ハブ構想を読み解く

24時間運用が可能な沖縄にて貨物便の深夜運航を実施

最近、JAL(株式会社日本航空)の経営再建が話題になっていますが、今回はANA(全日本空輸株式会社)について触れます。

ANAは、2008年度からの中期経営計画で沖縄貨物ハブ構想を掲げ、今秋にも運用開始する予定です。ANAの構想は、航空貨物需要が旺盛なアジアにおいて、各国の中心に位置するという地理的優位性のある「那覇空港」に大規模な航空貨物基地(ハブ)を設けて、国際航空貨物ネットワークを展開し、域内の物流拡大に対応/需要獲得をめざすものです。

具体的には、日本とアジアの各都市から集積した貨物を、沖縄にて集中的/効率的に積み替えた上で、各地へ輸送するものです。

24時間運用が可能な沖縄にて貨物便の深夜運航を実施し、アジアの各地を21~23時頃に出発した貨物を、夜間の沖縄での積み替えを経て、翌朝5~7時頃に目的地に到着します。

特定の2都市間だけでは十分な貨物需要がなく、採算性の観点から直行貨物便が難しい場合でも、このハブ集中方式を採用することにより、貨物の搭載効率が向上し、採算性を高めることができます。また間接的には、貨物ハブが設けられることにより、関連業務も含め雇用拡大等にも繋がり、沖縄の地域振興に貢献することになります。

フェデラル・エクスプレスの成長エンジンとなったメンフィス空港ハブ構想

この計画を耳にして、30年位前の米国の「フェデラル・エクスプレス社(現在のフェデックス社)の設立」を思い出しました。創業者のフレデリック・スミスが、ビジネススクールでこのハブシステムの原案レポートを提出したが、指導教授には評価されなかったそうです。しかし彼は、テネシー州メンフィス(ブルースの発祥地、ロックンロールのメッカ、この町で育ったエルビス・プレスリーのゆかりの地、として有名な町)にハブを設け、全米主要都市への翌日配送を開始し、急激な事業伸張と町の発展に繋がり、その後数々の他社買収を経て今日の業容を築いています。

貨物の発地から着地まで直行しないで、別の地点を経由することは、一見無駄に見えるかもしれませんが、搭載効率(積載効率)を高めることによりメリットを見いだしています今日では、このような搭載効率(積載効率)を高めるという輸送方式は国内ロジスティクス業界でも、積み合わせ事業者の地域広域ターミナル、小売りチェーンのTCセンター等、数多く見受けられます。アジアの空・海のロジスティクスにおいて、中国・韓国の著しい発展を見ている中では、ANAに是非頑張って頂きたいものです。

また、私共ロジ・ソリューションも、社会・経済環境の進展・変革をウォッチしながら、新しいロジスティクス・システム構築に取り組み、単なる単価ダウンでなく、仕組みの変更によるロジスティクス改革でのサービス・コストメリット提案を行っていきたいと思っています。

(文責:堤)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第51号 2009年10月7日)

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