先日、戦略コンサル部のメンバーで、チームの一体感を高め、これからの組織の方向性を考えるために、グループ会社の人材組織開発部の方を講師に迎え、LEGOSERIOUS PLAY※を活用したワークショップを行いました。

LEGO SERIOUS PLAYは、レゴブロックを使って個人や組織の考えを「かたち」にする参加型の手法で、遊びと学びを融合させた独自のプロセスにより、創造的な思考や問題解決を引き出すことを目的としています。
GoogleやNASAをはじめ、世界的な企業や大学でも研修や研究に導入されており、世代や立場を超えて誰もが参加できるのが特徴です。
今回のワークショップでは、この手法を用いてチームビルディングと自社の方向性を考えることをテーマに取り組みました。本稿では、その学びと気づきをレポートします。

みんなが安心して参加するための決まり事
本ワークショップでは、安心して意見を出すための約束事として、「人の作品には触らない」「発表が終わったら必ず拍手をする」といった簡単な決まりごとが共有されました。
こうした工夫により心理的安全性が確保され、誰もが安心して意見を表現できる環境が整います。
最初のお題は「タワーを作ってください」

一見シンプルなお題ですが、机を見渡すと多様な作品が並びました。高さを競う人、安定感を意識する人、装飾を重視する人など、どれ一つとして同じものはありませんでした。
同じ「タワー」という言葉でも、人によって思い描くものはまったく違います。言葉だけでは100%意図を共有できないというその事実を体感できた瞬間でした。
普段のコミュニケーションでも、「伝わったと思っていても、相手の解釈が違っていた」という経験は誰にでもよくあることだと思います。言葉だけでは100%意図を共有できないからこそ、具体的なかたちに置き換えて語り合うことで、互いの理解が深まるのだと実感しました。
次のお題は「自社の“今”をかたちにする」
続いては自社の現状を表す作品を各々作りました。


ご覧の通り、こちらもさまざまな作品が作られました。
「自分が今の組織をどう見ているか」をブロックで表現することで、普段の会議では出てこない発想や視点が自然に引き出され、ブロックを前に語り合うと、立場や役職に関係なくフラットに意見交換ができるのが印象的でした。
普段は言いにくいことも、作品を媒介にすれば建設的に共有できる。これがこの手法の強みだと感じました。
現状を可視化したことで、自社の課題や伸びしろが浮かび上がり、そこから「これからどうしていくか」を議論するきっかけにもなりました。
気づきと学び
ワークショップの最後には、参加者一人一人が感想を述べ合う場を設け、率直な気持ちを伝え合い、
- 「普段の言葉だけの議論よりも、相手の考えが立体的に理解できた」
- 「同じ職場にいてコミュニケーションを図っていると思っていても、思考を言語化すると思ったよりも理解ができていなかった」
- 「同じテーマにも関わらず、誰1人として同じものが作られないことに驚き、また個性が出ていて面白かった」
といった声が上がりました。
これらの声に表れているように、相互理解の深まりや新たな気づきが生まれたことは大きな成果でした。

チームビルディングの本質とは
私たちは日々、目の前の業務をこなすことに追われがちですが、チームの土台が築かれていなければ、大きな変化や新しい挑戦には対応できません。
土台とは、単に役割分担が明確であることではなく、「互いの強みや価値観を理解し、安心して意見を出し合える関係性」があることだと思います。
今回の研修で印象的だったのは、同じテーマでも一人ひとりが全く異なるモデルを作ったことでした。これは、私たちが日常的に使っている同じ言葉でさえ、必ずしも同じ意味では受け取られていないことを示しています。
だからこそ、違いを目に見えるかたちで共有し、互いに受け止めることが、強いチームを築く第一歩になるのだと実感しました。
物流の現場のようにドライバー・倉庫・配車担当など多様な役割が連携する環境では、違いをかたちで共有する力が重要なのだと感じました。
まとめ──「強いチーム」は意図的につくる
チームビルディングは自然に育まれるものではなく、意識的に取り組むことで強化されます。
特に人材の定着率が課題となっている物流業界においては、こうしたワークショップを“戦略的な人材投資”として位置づけることが重要です。
新しいメンバーが早く馴染み、既存メンバーとの信頼関係を築ければ、離職防止だけでなく、挑戦できる強い組織づくりにもつながります。
今回のレゴシリアスプレイは、その第一歩を実感させてくれる貴重な機会となりました。私たちにとっての学びは、「強いチームは、意図的につくるもの」ということでした。皆さんの職場でも、日常業務から少し離れて“チームの土台”を見直す場を持ってみてはいかがでしょうか。思いがけない発見が生まれるかもしれません。
(文責:益田 善綱)
※「LEGO SERIOUS PLAY」は、LEGO Groupの登録商標です。
参考:レゴ® シリアス プレイ® |レゴ®ショップ公式オンラインストアJP
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