新しいマテハン機器は次々に開発されている
536号を担当いたします手戸です。
近年、AGVを用いた仕分けシステムや高層ラックと連携したGTP(Goods to Person)システムなど、新しいマテハン機器が開発されています。これらの導入にあたっては、自社の業務にマッチするのかを判断するのが難しいところです。導入の判断はPOCを実施することでより明確になります。
POC(Proof of Concept)とは、新しいアイデアや技術の実現可能性を示すための実験的な取り組みで、本格開発・導入の前段階で実施されるものです。
以下に、導入可否を判断するためのPOCの目的と進め方を示します。
1.目的の設定
物流におけるマテハン機器導入の実現可能性を検証すること。
2.検証項目の設定
- 機能の確認: 想定される機能が正しく動作するかの確認。
- パフォーマンスのテスト: スループット(単位時間当たりの処理量)など想定したパフォーマンスや商品搬送などの動作確認。
- 使いやすさのテスト: UI(ユーザーインターフェイス)など操作性の検証。
- 冗長性や復旧のテスト: 予期せず停止した場合の適切な復旧の可否。
- データの正確性: データの整合性や処理の正確性の確認。
3.ハードウェアとソフトウェアのPOC仕様の設定
POCと実際の仕様の違いを明確にし、POCで実装する仕様を決定。
4.スケジュールの設定
検証期間など、POC実施から検証までのスケジュールを決定。
5.POC契約の締結
POCにかかる費用やPOCが不調の場合の費用負担など、必要に応じて契約を締結。
6.実施と検証
POCを実施し、想定した検証項目について評価。
POCの適切な実施が鍵
まずは、POCの目的を決め、目的に沿って検証項目を決めることが最初のステップになります。最も知りたいことは、想定される機能やスループットなどのパフォーマンスが発揮できるかどうかです。
POCの内容によって規模や準備期間、コストなどが大きく異なってきます。動作検証であれば、マテハンメーカーのデモスペースで済むかもしれません。実際の業務を想定したPOCとなると、ソフト開発が必要な場合もあります。また、スモールスタートとして検証を行う場合は、一部実機を導入して本番環境さながらのPOCになります。
マテハンメーカーによっては、簡易的なテストスペースや一定規模の入出庫を実際のマテハンを使って行う倉庫などを持ったメーカーもあります。できることが限られることも想定されますが、コストや検証期間を考慮するとこれらのデモスペースを活用してPOCを実施するのも良い案です。
最新の物流マテハン機器の導入にあたって、導入ステップにPOCを盛り込み、適切なPOCを実施することで、想定通りのパフォーマンスが発揮できるマテハン機器の導入が可能になります。
(文責:手戸 清人)
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