AI自動配車システムと動態管理プラットフォームの連携についての新たなプラットフォームが登場
第530号を担当いたします南部大志です。
気づけば、物流の2024年問題が生じる2024年4月から1か月が経過し、トラックドライバーの労働時間やバース予約時間等、さまざまな制約環境の中で適正な配車計画およびルートの決定が求められるようになりました。限られた時間の中で計画通りに輸送を遂行するために、様々なシステムが開発されています。本稿では、AI自動配車システムと動態管理プラットフォームの連携についての新たなプラットフォームを紹介いたします。
先日4月16日、ライナロジクスとtraevo(トラエボ)は完全AI自動配車システム「LYNA(ライナ) 自動配車クラウド(以下LYNA)」と動態管理プラットフォーム「traevo」を連携させた新機能の提供を同日開始したと発表しました。その新しいサービスの内容は、独自AIで算出する配車計画に各ユーザーが管理する車両の運行実績を加味し、より実態に即した配車計画を作成できるとされています。
従来のLYNAでは、計画と運行実態で移動経路・時間に差があり、計画通りの運行が難しいとユーザーからの声がありました。膨大な運行実勢情報をもとに、地域別・時間帯別に補正され、それが移動速度に反映されていたものの、想定外の渋滞や遠回りでも安全な経路を選択するといった行動から、計画と実態にはギャップが生まれていたとのことです。
弊社でもLYNAを使用し、配送ルートの現状評価や改善ポテンシャルの算出、固定ルートの見直し、配車業務の見直しなど、様々なテーマで活用しておりますが、現状を加味した設定速度を把握するのには時間をかけてきました。速度については、物流事業者や荷主、配車担当、ドライバーなど様々な変動要素があり、独自の事情を加味する必要があるためです。弊社では現状の実態を把握するために、配車担当者に地域別の速度情報などのインタビューを実施し、場合によっては運転日報をお借りし、運行実績の情報をもとに速度の調整をおこなうこともあります。それらをもとにトライアンドエラーを繰り返し、その現場に即した速度帯を設定してきました。
今回の新たなサービスにより、ユーザーが管理する車両の運行実績データを自動配車クラウドに反映することができるため、これまでのような手間をかけずに実態に即した移動時間補正が可能になり、配車担当の負担が大幅に削減されます。
また、従来の課題であった計画と実態のギャップがなくなり、ユーザーの事情に即した配車計画は、想定外の渋滞回避や安全なルートの提示を可能にし、配車担当者だけでなくドライバーにとってもメリットをもたらします。ドライバー不足が騒がれている昨今の環境下において、効率よく安心して働くことができる業務環境は、従業員満足の向上や定着に繋がり、ドライバー不足に対しても効果が期待できます。
このような最新プラットフォームの活用は、効率的な業務や先進的で魅力的な労働環境を整備するための一つの手段として大きな効果があるのではないでしょうか。
(文責:南部 大志)
【参考文献】
ライナロジクスの完全AI自動配車システムとtraevoの動態管理プラットフォームが連携開始 │ LOGI-BIZ online ロジスティクス・物流業界ニュースマガジン(4/16掲載)
(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第530号 2024年5月22日)