前稿では物流改革の方向性検討についてお伝えしました。本稿では物流改革におけるプロジェクト体制の構築について説明します。どんなに素晴らしいアイデアを閃いても、実行できなければ絵に描いた餅になってしまいます。せっかくのアイデアを絵に描いた餅にしないためにも、プロジェクト体制構築にあたって、本稿の内容を参考していただければ何よりです。
プロジェクトと定常業務の違い
プロジェクトは普段の定常業務と異なるポイントがあります。
プロジェクトの目的とは、決められた期間内に目標を達成することです。また、プロジェクトによってはさまざまな部門からメンバーがアサインされるケースもあります。多様なメンバーで期間内に目標を達成するためには、体制構築にあたって注意するポイントが定常業務とは異なります。まずプロジェクト体制構築に向けた全体の流れを簡単に説明します。
1.目標の明確化
2.プロジェクトメンバーの検討
3.プロジェクトルールの整備
まずはプロジェクトの目標を明確にする必要があります。
プロジェクトに関与するメンバーや活動の内容について明らかにし、プロジェクトの完了基準を定めた上で文書化します。当たり前のことのようですが、さまざまな組織からメンバーが集まるプロジェクトでは、こういった基本的な内容でも認識の相違が発生するケースが珍しくありません。例えば、プロジェクトの完了基準を1億円のコスト削減と設定しても、当該年度内で1億円削減するのか、年換算で1億円規模のコストを削減するのかで解釈にズレが発生する可能性があります。
次にプロジェクトメンバーの検討です。新聞物流においてコースを大幅に変更する場合、販売店や印刷工程との調整が必要となるため、管轄する各部門からメンバーを選抜するケースが多いです。ただし各部門の利害が一致しない場合に備えて、最終的な意思決定の場(ステアリングコミッティ等)を設けることも検討する必要があります。
更にプロジェクトルールを整備します。プロジェクトチームの構成や各メンバーの役割・権限を明確するだけでなく、ステークスホルダー(利害関係者)についても洗い出しておく必要があります。また、コミュニケーション(会議体の開催頻度等)のルールを決定します。
最後にこれらの活動の仕上げとして、体制構築に向けて準備した内容を文書にまとめる必要があります。文書のイメージが湧かない方は、弊社で活用しているテンプレートを参考にしてみてください。
本稿ではプロジェクト体制構築について説明しました。プロジェクト体制の構築は、物流改革の方向性検討で描いたシナリオを実現するための第一歩です。「急がば回れ」ではありませんが、多少の時間を費やしてでも盤石な体制を構築することが、最終的にはプロジェクトの成功確率を高めると考えられます。
次稿では具体的な改革の実行(コースの集約にむけた設計のポイント)について説明します。
(文責:野尻 達郎)
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