民主党政権の公約を検証する
先の衆議院選挙で、自民党から民主党への政権交代となりました。民主党政権となり、物流行政にはどのような影響が考 えられるでしょうか? そこで、民主党のマニフェストを眺めてみました。 物流に関係しそうな公約としては、大きく下記3つが記されております。
(1) 自動車関連諸税の暫定税率の廃止
(2) 高速道路の原則無料化
(3) 2020年度までにCO2排出量の25%減(1990年比)
(1)については、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税の暫定税率が廃止されます。概ね4~5割削減となります。
物流コストの影響という観点では、軽油引取税が32.1円/リットル→15.0円/リットルへの引き下げはインパクトが大きく、 物流事業者にとってはコストダウンとなります。しかし、荷主から、減税分の値下げ要請があるかもしれません。
トラック協会が発表している「経営分析報告書(平成19年度決算版)」によると、燃料油脂質(大半が軽油質)は原価の約15%です。軽油価格を85円/リットルとした場合、仮に暫定税率が廃止された場合の影響は、15%×20%(17.1円-85円) = 3%のコストダウンとなります。最終的に、このコストダウンが消費者に還元されればよいですが…
(2)については、全ての高速道路が無料にならない可能性があるそうです。現時点では、阪神高速と首都高速は無料化にならないと明言しておりますが、その他、東名や中央高速も有料となる可能性もあるそうです。シミュレーションをしながら、地方の高速道路から段階的に無料化を進めるという方式が採用されるかもしれません。(1) と同じく「経営分析報告書 (平成19年度決算版)」によると、道路使用料は原価の約4%です。高速道路の「一部」 無料化により、この比率がどのように変化するか、物流事業者や消費者にとってどのようなメリットがあるか楽しみですね。
(3)については、「かなり大きく出たな」というのが個人的な感想です。仮に2010年度に京都議定書の90年比6%削減が 達成されたとして、2010年を基準に2020年度までに約20%の削減が必要となります。おおよそ年間2%です。平成19年9月の、中央環境審議会地球環境部会 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会が作成した京 都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告によると、2010年度時点では2%前後不足する見通しだそうです。この数字は、京都メカニズムの活用量及び森林吸収量が目標計画通りという前提です。
2) の高速道路の無料化により、温室効果ガスの増加も懸念されます。将来的には、改正省エネ法の強化がより一層進む可能性があり、物流にも影響を及ぼしてきそうです。 現時点では、上記のような変化が考えられますが、その他、公共投資の仕方も変化するかもしれません。例えば、港湾への投資を主要港に集中させる等も考えられます。
いずれにしろ、この変化が物流行政にとって良い変化であること期待しましょう。
(文責:森田)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第50号 2009年9月30日)