荷主と物流事業者が一体となった改善が急務
皆さんもご承知の通り、近年ではドライバー不足の深刻化、コンプライアンスの強化など物流事業者にとっては厳しい状況が続いております。
多くの物流事業者はこのような状況の中で、生き残るために自社内のコストダウンに向けた様々な取り組みを行ってきました。今後も更にその取り組みを拡大させる必要がありますが、運行の領域においては物流事業者のみで効率化を行うことには限界がきていると感じています。なぜなら、効率化の阻害要因のいくつかは物流事業者のみでは改善できないことが多く存在しているからです。
実際に物流事業者の方から、「待機時間が一向に改善されないため車両回転率が上がらない」、「午前中指定の納品先が明らかに多くなり、別車を仕立てないと回らない」、「1件あたりのロットが小さくなり、日車収入が落ちてきている」、「繁忙期と閑散期の差が大きく、対応に苦労している」などよくお聞きします。これらは物流事業者のみの努力だけでは改善できない領域です。
今後ますます労働者不足が進み、国内流通もECの拡大などにより市場や環境が変化していく中で持続性のある物流を維持していくためには、荷主と物流事業者が一体となり、物流改善に取り組むことが非常に重要になっていきます。
これまでの経験の中でも上記の意識(運行領域の改善については荷主側の取り組みも必要であること)が荷主側にはまだまだ足りていないと感じることがありました。実際に荷主側の担当者との話の中で、物流事業者からの値上げについての相談を受けた時に、自社の物流条件が値上げの要因の一つであるという意識が無く、値上げという結果にだけ反応している印象を受けました。
荷主は何をすべきか
では荷主の立場からはどういった取り組みをしていけばよいのでしょうか?
まずは自社の物流実態をしっかり把握し、効率化の阻害要因を一つ一つ明確にすることです。そしてそれらの阻害要因を是正するためにどういった取り組みを行うのかを物流事業者と共有し、取組事項、役割を明確にした中で進めていくことが重要だと思います。(大切なのは荷主としての取組姿勢を物流事業者に見せることです。)
例えば、時間指定や荷降ろし条件などの納品要件についてはブラックボックス化していることが多くあるので、物流事業者の協力のもと見える化し、本当に必要かどうかの見極めを荷主側で行う、待機時間については慢性化している納品先をリストアップし、納品の実態を整理した上で取引先と交渉を行うなどです。注意点として、これらは取引先との調整が必ず必要になりますので、物流部門だけではなく、営業部門を巻き込んだ組織横断的な取り組みが必要になります。
また物流事業者もプロの目線から問題点とそれが解消された時の効果を具体化させ、荷主側を動かす提案を行っていくことが重要だと思います。(要望だけではなく要望が応えられた時のメリット部分を明確化する)
こうした取り組みは荷主側にとっては運賃値上げの抑止力、効率化によるコスト削減にも繋がる可能性があります。物流事業者にとっても自社内のコストダウンに繋がります。(win-winの関係構築)
物流情勢が年々悪化している今、荷主と物流事業者が一体となり、よりよい物流の環境が構築されることが望まれます。
(文責:南部 大志)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第390号 2018年9月26日)