ノンアルコール飲料がブームのようです
季節は春となり、日増しに暖かさが感じられる今日この頃ですが、春といえば新しい出会いと別れ、歓迎会や送迎会またお花見と、にぎやかな席に呼ばれる機会が多いのではないでしょうか。
昔は花見といえばビール、日本酒…、真っ赤な顔をしたおじさんがいっぱいというイメージでしたが、どうも最近はお酒に代わってノンアルコール飲料が増えてきているそうです。ワインブーム、焼酎ブームとありましたが、いまやノンアルコール飲料がブームとか。この背景としては、いろいろあるようですが、一番は「酒気帯び運転事故の多発と飲酒運転の取締り強化」の影響という話を聞きます。
確かに事故の件数を調べてみると、交通事故発生件数、内飲酒運転事故件数も近年減少傾向にあり、飲酒事故においては、道交法改正の飲酒運転の罰則強化となった平成13年(2001年)以降10年間大幅に減少を続け、22年の発生件数は13年と比べ78.1%減少となりました。しかしながら、近年は減少率が落ちている傾向にあります。発生最小件数に近づいたかもしれませんが、長年培われた日本の風土として、一部でちょっとくらいの飲酒は構わないんじゃないかと思われてきた慣習はまだまだ根強いところがあるように思えます。
交通事故発生件数と飲酒運転事故件数の推移(平成13年~22年)
アルコール検知器の義務化
自動車運送事業では、事業者に代わって運行管理を行う「運行管理者」の選任が義務付けられています。「運行管理者」は貨物自動車運送事業法に従って運行業務、ドライバー等の管理を行っていきます。その重要なドライバー管理業務のひとつ、「点呼」において、ドライバーの健康状態を目視で確認を行うのと同時に、酒気帯びの有無について乗務前と乗務終了後に、目視とアルコール検知器にて確認を行うことが義務付けられました。(旅客自動車運送事業運輸規則及び貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正-平成23年5月より施行)。
アルコール検知器は、小型サイズのものから、毎日の記録を行うパソコンタイプまで多種多様ですが、全自動車運送事業者は、運行時必ずチェックを行うことが必須となりました。先ほどご紹介した東名高速飲酒運転事故のようなプロのドライバーが引き起こした飲酒運転の発生を瀬戸際で防ぐ、という役割を果たしていると思われます。
ではこれで飲酒運転が防げると呼べるでしょうか?
運行管理者は飲酒運転防止について十分な指導を行っているといえるでしょうか?
アルコール検知器はあくまでも体内にアルコールが残っているかどうかを判断するだけです。アルコールについて学び、節酒の方法を指導する、というようにドライバーがアルコールの知識を得ることが、一番の飲酒運転防止となるのです。また、一般のドライバーのように検知器がない場合アルコールが残っているか、どう判断できるでしょうか。ではアルコールについて簡単な知識をご紹介します。
アルコールはいつ体から抜けるのか?
昔からよく「一眠りしたらアルコールは抜けてしまう。」とか、「休憩して意識がしっかりしたらOK。」とか言われます。が、きちんとした目安を確認してみましょう。酔いの元となるアルコールを計る目安として、厚生労働省が主導している21世紀の国民健康運動「健康日本21」の中に、純アルコール約20g%3D1単位が示されています。
この1単位を酒類に換算すると、以下の表となります。
※種類のアルコール度数は、1単位の目安です。もしこれより高い度数のものは、1単位の量は減少します。
では、この「アルコールの1単位」を体内で処理する時間はどれくらいかかるのか。個人差もありますが、目安として「4時間/1単位」かかるそうです。
◆アルコールを体内で処理する時間の目安
例えば中ジョッキ3杯飲めば、3単位12時間かかるということになります。前日夜9時までお酒を飲んで、翌朝7時から車通勤をすると、酒気帯び運転になる可能性が十分あるわけです。実際に発生した酒気帯び運転の事例でも、上記と同様のケースで、一旦停止違反で捕まり、酒気帯びが発覚ということもあるようです。
※この目安はあくまでも個人差がありますので、きっちり4時間とは認識しないでください。 1単位につき4時間以上の処理時間がかかると考えてください。
どうですか? 普段日常で「えっ、実はいままで酒気帯び運転だった?」、「正月の初詣は酒気帯び運転だったのか?」と思いあたる節はありませんか?また、健康管理からも「健康日本21」では、節度ある適度な飲酒の目安を「アルコールの1単位」とされています。
例えば、毎日60g=3単位の飲酒を続けていると、脳出血、がん、肝硬変など生命にかかわる病気のリスクが飛躍的に高くなると指摘されています「アルコールの1単位」を守れば、翌日に持ち越すこともなく、健康へのリスクも少ないとされています。
とはいえ、私もお酒が嫌いなほうでなく(むしろ…)、たまには量が過ぎることもあります。 飲酒は週末にとどめる、飲酒した翌日は1日車に乗らない!という決心のもと、アルコールと付き合うのが正しいアルコールとの付き合い方といえるのではないでしょうか。
(文責:岩本)
【参考文献】
特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)HP NASVA「運行管理者講習資料」
警察庁HPより 飲酒運転による交通事故の発生状況
内閣府HP 交通安全白書 平成23年版
総務省統計局統計データ 日本の統計グラフでみる日本の統計
62 道路交通事故件数・死者数
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第166号 2012年3月28日)