AEO制度

1.はじめに
税関は、関税及び内国消費税等の徴収、輸出入貨物の通関、密輸の取締り、保税地域の管理などを主たる目的・業務としておりましたが、米国で発生した同時多発テロ以降、テロ対策としてのグローバル物流の安全確保という新たな側面を加えています。
その結果、従来の業務(通関等)でも多くの時間を費やしていた上に安全確保ともなると、円滑に行うべき物流を阻害してしまうことになりかねません。
そこで今回は、この税関手続の緩和・簡素化策を提供する制度について取り上げてみたいと思います。

2.AEO制度とは(Authorized Economic Operator
国際物流におけるセキュリティ確保と円滑化の両立を図り、我が国の国際競争力を強化するため、貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された事業者に対し、税関手続の緩和・簡素化策を提供する制度です。
WCO(世界税関機構)が採択したSAFE「基準の枠組み」においてAEO制度の導入・構築の指針が定められており、我が国のAEO制度は、その指針に沿ったものとなっています。
平成18年3月に輸出者を対象に導入されたAEO制度は、その対象を輸入者(平成19年4月)、倉庫業者(平成19年10月)、通関業者・運送者(平成20年4月)、製造者(平成21年7月)に広げ、制度の拡大に努めているほか、AEO事業者に対する利便性の向上などの制度改善を随時行っています。
財務省関税局:http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kaizen.htm
AEO(Authorized Economic Operator)制度 1.AEO制度とは より引用(アクセス:2013年2月5日)

3.AEO制度のメリット等
特例輸入申告制度
[概要] 貨物のセキュリティ管理とコンプライアンス(法令遵守)の体制が整備された者として、あらかじめいずれかの税関長の承認を受けた輸入者(特例輸入者)については、輸入申告と納税申告を分離し、納税申告の前に貨物を引き取ることができる制度です。
[メリット] 納税申告の前に貨物を引き取ることが可能となるとともに、貨物が本邦に到着する前に輸入申告を行い、輸入の許可を受けることができることから、輸入貨物の一層の迅速かつ円滑な引取りが可能となり、輸入者のコストが削減される等、その利便性が向上することが期待されます。
1.貨物が本邦に到着する前に通関手続が完了します。
2.輸入申告時の申告項目が削減されます。
3.輸入申告時の納税のための審査・検査が基本的に省略され、その結果、通関に要する時間を計算できることとなり、在庫管理が一層容易となります。
4.保全のため必要と認められる場合を除き、担保の提供を行うことなく納税申告を後日に行うことができます。
5.納税申告を後日まとめて行うことができます。

特定輸出申告制度
[概要] 貨物のセキュリティ管理とコンプライアンス(法令遵守)の体制が整備された者として、あらかじめいずれかの税関長の承認を受けた輸出者(特定輸出者)については、貨物が置かれている場所又は貨物の船積(積込)を予定している港(空港)の所在地を管轄する税関長に対して輸出申告をし、保税地域等に貨物を搬入することなく、輸出の許可を受けることができる制度です。
[メリット] 特定輸出申告制度においては、貨物を保税地域に搬入することなく、自社の倉庫等で輸出の許可を受けることが可能となるほか、税関による審査・検査において輸出者のセキュリティー管理とコンプライアンスが反映されることから、輸出貨物の迅速かつ円滑な船積(積込)が可能となり、リードタイム及び物流コストの削減等が図れるものと考えられます。

特定保税承認制度
[概要] 貨物のセキュリティ管理とコンプライアンス(法令遵守)の体制が整備された者として、あらかじめ税関長の承認を受けた保税蔵置場等の被許可者(特定保税承認者)については、税関長へ届け出ることにより保税蔵置場を設置することが可能となるほか、当該届出蔵置場にかかる許可手数料も免除される制度です。
[メリット] 特定保税承認制度においては、税関長に届け出ることにより保税蔵置場等を設置することが可能となるほか、許可手数料が免除されること、包括的な許可(更新)を受けられること、コンプライアンスを反映した検査を受けられること等、税関手続における利便性が向上すると考えられます。

認定通関業者制度
[概要] 貨物のセキュリティ管理とコンプライアンス(法令遵守)の体制が整備された者として、あらかじめ税関長の認定を受けた通関業者については、輸入者の委託を受けた輸入貨物について貨物の引取り後に納税申告を行うことや、輸出者の委託を受けて特定保税運送者による運送を前提に貨物を保税地域に入れることなく輸出の許可を受けることを可能とする制度です。
[メリット] 1.輸入者の依頼により行う輸入貨物の通関手続において、貨物の引取り後に納税申告を行える(特例委託輸入申告制度)ことにより、輸入貨物の一層の迅速かつ円滑な引取りが可能となる等その利便性が向上します。
2.輸出者の依頼により行う輸出貨物の通関手続について、特定保税運送者による運送等を前提に、保税地域以外の場所にある貨物について輸出の許可を受けることを可能とすることにより、リードタイム及びコストの削減等が図られます。

特定保税運送制度
[概要] 貨物のセキュリティ管理とコンプライアンスの体制が整備された認定通関業者、特定保税承認者その他の国際運送貨物取扱業者については、個々の保税運送の承認が不要となるほか、特定委託輸出申告に係る貨物について、輸出者の委託を受けて保税地域以外の場所から直接積込港まで運送を行うことが可能となります。
[メリット] 保税運送について個々の承認が不要となるなど、簡易な手続で行えることにより事務負担が軽減されるほか、輸出貨物の運送について、輸出者の依頼により認定通関業者が保税地域以外の場所で申告を行う貨物について、輸出者の依頼によりその場所から直接積込港等まで運送を行うことを可能とすることにより、リードタイム及びコストの削減等が図られます。

認定製造者制度
[概要] 貨物のセキュリティ管理とコンプライアンス(法令遵守)の体制が整備された者として、あらかじめ税関長の認定を受けた製造者が製造した貨物については、当該貨物を取得した輸出者が行う輸出通関手続において、当該貨物を保税地域に入れることなく輸出の許可を受けることを可能とする制度です。
[メリット] 認定製造者が製造した貨物(特定製造貨物)について、当該貨物を取得した輸出者(特定製造貨物輸出者)が行う輸出通関手続において、当該貨物を保税地域に入れることなく輸出の許可を受けることが可能となり、リードタイム及びコストの削減等が図られます。
財務省関税局:http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/index.htm
輸出入通関手続きの便利な制度 より引用(アクセス:2013年2月5日)

サプライチェーンとAEO制度


PDF版はこちらから

4.AEOを取り巻く環境-世界的な流れ-

[制度導入の経緯] ・2001年9月の米国同時多発テロ(9.11)を契機に、米国においてセキュリティプログラム(C-TPAT)導入。
・2006年6月WCO(世界税関機構)において、世界共通のAEOガイドライン採択。
以降、日本を含めた世界各国で、制度整備が進められる。
[相互承認] ・相互承認とは、貿易の相手国においてAEOと認定された事業者に対しては、自国においても同様にAEO事業者として承認し、便益を与える取り決め。
・コンプライアンスに優れている事業者を世界的に優遇しようという流れが加速している。
・財務省関税局では、貿易相手国と2国間の安全かつ円滑な物流を目指すAEO相互承認に向けた取り組みを推進しており、既にニュージーランド、米国、EU、カナダ、シンガポール、韓国と実施している。このほかアジア諸国を中心に諸外国と制度の研究・構築支援を行っている。

5.おわりに
今後、コンプライアンスに対する世界的な要求が更に高まり、上記制度の認定を受けていない事業者は、競争の土台へも乗れない時代がやってくると思われます。
日本は輸出入大国であり、海外との取引なしでは企業の成長や国民の生活は成り立たなくなっています。事業者が成長・飛躍し生き残っていく(勝ち組)ためには、制度認定は必要不可欠なものであり、特に海外との取引がある事業者にとっては、逃れることができないものではないでしょうか。
また、日本国内だけで事業(生産・販売等)しているのであればある意味問題ないかもしれませんが、グローバル化がますます進んでいくことを考え、海外との取引を模索しているのであれば、制度認定を考えておいてもよいのではないでしょうか。
世界ではまだまだテロや密輸といった人々の生活を脅かすことが起こっており、安全確保という側面で、スピーディかつ安全・安心なものが輸出入されることが期待され、それを制度化したことはとても良いことだと思います。
表にAEO認定事業者数を記載しておりますが、私には少ないように感じます。認定事業者数が増加し、日本全体の国際競争力がますます強化されていくことを期待したいと思います。
最後になりましたが、財務省関税局のホームページにはAEO事業者になるための「AEO認定要件チェックリスト」が掲載されていますので、一度チェックをしてみてはいかがでしょうか。

【引用・参考資料】
・財務省関税局
http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kaizen.htm
・国土交通省 物流 日本版AEO制度
http://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu03420.html
・日本貿易会月報  2011 年 7・8 月号 No.694  貿易投資関係情報
33 わが国のAEO制度への取り組み
― 安全でスピーディーなグローバル物流の実現に向けて
財務省 関税局業務課 認定事業者調整官 米山 徹明
http://www.jftc.or.jp/shoshaeye/pdf/201107/201107_33.pdf

【お知らせ】
ロジ・ソリューションの親会社であるセンコー株式会社が2013年1月17日付で東京税関からAEO制度で定められた認定通関業者の認定を受け、1月23日に東京税関において認定書の交付を受けました。詳細はこちらから

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合せはこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です