物流現場における「安全」の確保にはリスクの洗い出しが必須

安全とは

先日会社の研修の一環で「運輸安全マネジメント制度」について勉強する機会がありました。 「運輸安全マネジメント制度」とは、平成17年度に起きたヒューマンエラーによる事故の多発を受けて国土交通省により創設された制度で、平成18年10月より陸海空の輸送事業者に対し輸送の安全の確保に関する義務付けが強化されました。

輸送に限らず物流現場において「安全」の確保が重要であることは言うまでもありませんが、そもそも「安全」とはどういう状態のことを指すのでしょうか。私も先日の研修で講師からこの質問をされたのですが、正直うまく説明することが出来ませんでした。皆さんはいかがでしょうか?

国際安全規格(ISO12100)ではこう定義されています。「安全とは:受け入れ不可能なリスクから開放されていること」つまり、「安全」とは絶対安全(リスクゼロ)を意味するものではなく「リスクを受容可能な範囲まで抑えている状態」のことをいい、言い換えると「安全」の第一歩は「起こり得るあらゆるリスク(危険要因)をよく知る」ことから始まるのだと言えます。

従って物流現場における「安全」の確保にはリスクの洗い出しが必須となるのですが、その手法の1つとして「リスクアセスメント」という考え方があります。今回は「リスクアセスメント」について簡単にご紹介したいと思います。

リスクアセスメントとは「作業における危険性又は有害性を特定し、それによる労働災害(健康障害を含む)の重篤度(被災の程度)とその災害が発生する可能性の度合いを組み合わせてリスクを見積もり、そのリスクの大きさに基づいて対策の優先度を決めた上で、リスクの除去又は低減の措世を検討し、その結果を記録する一連の手法(厚生労働省サイトより)」のことで、労働安全衛生法第28条の2の規定により、運送業ではその実施に努めなければなりません。

リスクアセスメントの基本手順

リスクアセスメントの特徴の1つとして、リスクをその発生頻度(可能性)や発生した場合の重大性(重篤度)に応じて数値化、若しくはレベル分け(リスクの見積り)するということがあります。

例えば、ピッキング作業について考えてみると、危険性を「商品をラックから取り出す際に商品が上から落下し怪我をする」と特定した場合、発生頻度はいずれも変わらないとしたら、その商品が軽量物なら重大性は1点(軽傷)、重量物なら3点(重傷)、危険物なら5点(致命傷となる可能性あり)、というふうに見積もっていきます。実際には、その商品が保管されているラックの高さや通路幅(回避スペース)等も考慮した中で見積もっていかねばならないのですが、注意すべき点として、リスクアセスメントは決して1人ではやらないということです。1人でやると危険性の見落としやリスクの過小評価に繋がる可能性が高いので、必ず現場責任者や実際の作業者を含めて職場全体で取り組むことが重要です。

これから年末にかけて繁忙期となり、皆さんの職場において作業が煩雑になることも多いかと思いますが、今一度皆さんの職場の「安全」について、考えてみてはいかがでしょうか。

(文責:福田)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第198号 2012年11月28日)

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