物流業界に迫り来る「車両不足・人手不足」の危機

今回の消費増税に向けた駆け込み需要は、数か月前から対象業界を変えながら継続してきた事が、さまざまな統計から明らかになりました。
例えば、戸建住宅、自動車、家電製品、日用雑貨品、加工食品や飲料などの業界では顕著な需要増減があり、最近の状況では大手スーパーや百貨店が特設コーナーを設置して駆け込み需要の取り込みを続けています。
この状況の中で物流業界では、2013年11月頃より輸配送を担うトラック確保に支障をきたすケースが顕著になり、物流逼迫の状況となりました。
ある物流事業者の方からは、運賃水準や事業者の立ち位置に関する潮目が変わったとの話題や、新たな荷主から物流能力確保の引き合いが来るようになったとの話題もあり、これまでにはない動きがあります。
この背景として、輸送量縮減の推移に応じた物流能力全体の縮減があります。

国土交通省の自動車輸送統計年報で公表されている、輸送トン数の推移では、以下の推移をたどっています。
1998年度 57億トン
2003年度 51億トン
2008年度 46億トン
2013年度 43億トン
この10年で、約17%輸送量が減少しています。

この輸送量減少に伴い、同じ国土交通省の自動車保有台数及び生産台数の推移では、トラック(含トレーラー)保有台数として、以下の推移となっています。
1998年度 847万両
2003年度 741万両
2008年度 656万両
2013年度 604万両
この10年で、約20%車両保有台数が減少しています。
また、貨物自動車運送事業者数(一般)は、この数年は事業者数が約5.7万社程度のレベルで推移しており、事業者数増加に伴う輸送能力拡大は期待できない状態にあります。

さらには、トラックドライバーの不足も指摘されています。厚生労働省の職業別有効求人倍率(パートタイムを含む常用)では、自動車運転の職業は以下の推移となっています。
2012年 11.41倍
2013年 11.60倍
2014年1月 1.93倍

建設躯体工事従事者(ビル、家屋などの建設工事に関連して、型枠の組立作業、とび(鳶)・鉄筋組立てなどの躯体関係の仕事に従事する)では、以下の推移となっています。
2012年 14.84倍
2013年 15.93倍
2014年1月 7.32倍
足元の1月では、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師(7.41倍)並みの有効求人倍率の高さです。

自動車運転の職業を希望される方が、全て建設躯体工事従事者を希望されるわけではありませんが、景気回復に加え、東北復興需要や東京オリンピック建設需要等を勘案すると、物流業界と建設業界で人材の引合いをしている状況にあるとも言えます。
ちなみに、建設業界では人手不足や人件費高騰から、国や地方公共団体が工事費用を見積もる際に使う労務単価を2月から全国平均で7.1%引き上げました。
2014年4月にも15.1%引き上げられており、物流人材確保にとって脅威と言えます。

このような状況変化の結果、需給バランスが崩れた状態が出現しており、トラック運賃も上昇基調にあります。
全ト協が公表している、求荷車情報ネットワーク(WebKIT)成約運賃指数では、2010年4月を100とした指数で、2014年2月は115となっています。前年同月対比でも9ポイント上昇となっています。
消費増税を契機とした輸送量増加は一時的な要因ですが、ドライバー不足、車両不足は物流に構造的な要因として継続する事から、トラック運賃は下げ止まりとなる可能性もあります。
円安基調となった後も輸入超過が続いている貿易構造もあり、海外からの輸入品を海外で集積し国内需要に応じて必要な製品の組み合わせで効率的に輸入する物流拠点や、輸入物量に対応する新たな物流ネットワークを再構築するなど、これまでとは異なる物流効率化のアプローチが求められます。

同時に国内物流でも、納入先への納入条件緩和や各取引先との情報連携高度化、共同物流・共同配送の拡大、モーダルシフトの拡大、さらにサプライチェーンマネジメント(SCM)の高度化など、これまでとは異なる新たなアプローチを組み合わせる事が求められます。
こうした新たな取り組みによる新たな物流ネットワークを効率的に迅速に準備する事が、事業競争力の維持向上をはかり、収益効率と資産効率を高める上で避けて通れない事は言うまでもありません。

消費増税に伴う出荷対応が落ち着いたこの機会に、現在の物流ネットワークやSCMの状態を点検して仕組み変更による効率化余地を確認し、新たなアプローチで新たな物流ネットワークを迅速に準備する事をお勧めします。

(文責:伊藤)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第247号 2014年4月25日)

 

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