前稿ではコースの集約にむけたコース設計・輸送シミュレーションの実施(こちら)についてお伝えしました。本稿では、新コースの試走検証実施、及び、関係者との最終調整についてご紹介します。
新聞輸送コースの特徴
新聞輸送には、日々の輸送コースが固定であること、到着時間が分単位で決まっており、到着が遅れることができないという特徴があります。新たな輸送コースを安定稼働させるためにも、各輸送コースに問題がないか確認するために、試走による検証を推奨します。試走において確認すべきポイントとしては、下記3点です。
(1)走行時間の計測
(2)走行距離の計測
(3)道路状況の確認
シミュレーションソフトを盲信しない
試走の際に一番重要視しなければならないポイントは(1)走行時間の計測です。
コース設計時に算定した想定到着時間に実際に到着できるかを確認する必要があります。いかに精緻にコース設計をしても、想定到着時間とギャップが発生することは多くあります。弊社の支援実績として、シミュレーションソフトを使用したコース設計を実施しましたが、走行時間においてギャップが発生するコースがありました。走行時間が想定よりも長くなってしまった場合、販売店への到着時間に影響が出ます。試走を行い、想定店着時間とギャップが発生する販売店を漏れなく洗い出しをします。
次に(2)走行距離の計測についてです。
新聞輸送では、輸送事業者に支払う運賃は走行距離と拘束時間で算出される場合があります。新コースになって輸送距離が変わることで、距離制の運賃表において輸送事業者に支払う運賃が変わります。正確な運賃を把握するためにも、試走時には走行距離を計測するのが望ましいです。
最後に(3)道路状況の確認です。実際に走行してみると道路の幅が狭くてトラックが通れない、販売店の入口が道路の逆側にある等の問題があり、販売店に到着するために遠回りを余儀なくされる場合があります。各販売店や輸送事業者にコース設計時に周辺道路の状況をヒアリングすることで未然に防ぐことができますが、試走の際に現地で改めて確認することを推奨します。
試走結果を踏まえたコースの見直しも
以上のポイントを試走により把握します。試走結果によってはコースの見直しが発生するので、必要に応じて関係者と最終調整を行います。印刷工場から出発する順番を早めることや、販売店へのおろし順を入れ替えることで、問題が解決できる場合がありますので、販売店や輸送事業者と相談し、慎重に検討を重ねるのが望ましいでしょう。関係者との最終調整を経て全てのコースで問題を解決できると、新輸送コースが確定となります。
本稿では試走による検証と関係者等との最終調整について説明しました。試走については、予め試走の条件・ルールを統一しておかないと、担当する輸送事業者ごとに結果が変わってしまう場合があります。試走の開始時間や到着時間を計測するタイミング、荷降し時間を含めるか等は事前に統一化することが望ましいです。
次稿では物流改革における既存輸送事業者との調整/交渉についてについて説明します。
(文責:三木 祥裕)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第489号 2022年10月12日)
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