DX時代における新聞物流の再検討-1 新聞物流をめぐる動向

コロナ禍において紙媒体を前提としたビジネスは退潮した

新型コロナウイルス感染症の流行は人々の行動を大きく変えました。私自身も例外ではなく、打ち合わせやプレゼンテーションはオンラインでの実施が中心となりました。その結果、紙媒体を活用した情報のやり取りも急激に減少し、プライベートで購読している新聞や雑誌についても、電子版を積極的に活用するようになりました。このような状況を考えるとコロナ禍において紙媒体の活用を前提としたビジネス(定期刊行物等)は、ビジネスモデルの転換期を迎えているのかもしれません。

昨今、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が声高に叫ばれています。DXという言葉からデジタルへの置き換えをイメージされる方が多いようですが、経済産業省による『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン』(リンク切れ)では、デジタル技術を活用したビジネスの変革だと定義されています。

新聞の電子化も進む

前述の新聞についても電子化が徐々に浸透しており、まさしくデジタル技術を活用したビジネス変革の真っ只中だと考えられます。今後はデジタルでの配信を軸として、各新聞社でビジネスモデルの転換と差別化に向けたCX(Customer Experience・・・顧客体験)やOE(Operational Efficiency・・・業務効率)の向上が図られていくのではないでしょうか。

一般社団法人日本新聞協会の調査によると、2010年から2020年の10年間で新聞の発行部数は3割程度減少しています。今後も人々の消費行動の変化によって、新聞の電子版における販売量の増加が想定される一方で、紙媒体の販売量は減少が想定されます。各新聞社はビジネスモデルの転換の取組みの中で、紙媒体の物流網を再検討する必要性に迫られていることが推測されます。

新聞物流をめぐる動向は混沌としています。読売新聞は自社の物流網を強みとして、新たな機会を掴もうとしています。SBSグループと共同運営する宅配サービスYCお届け便は非常に興味深いサービスです。その一方で、最新鋭の配車シミュレーションツールを活用して、輸送コースの集約を進める新聞社もあります。次稿ではこういった混沌とした状況下で、今後のあるべき姿を描くヒントをお届けしたいと思います。

(文責:野尻達郎)

【参考資料】

経済産業省デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン

一般社団法人日本新聞協会WEBサイト

YCお届け便WEBサイト

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(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第461号2020年9月1日)

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