物流現場改善の基本視点〜“3つのない”でムダを見つける~

 皆様の中には、「物流倉庫の業務を改善したいが、具体的にどこをどう改善すれば良いかわからない」「改善点が見つけられずに困っている」といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 本稿では、そうした方々のお役に立てるよう、物流現場に潜む改善のヒントを見つけ出すための視点として、「3つのない」をご紹介いたします。

歩かせない

 倉庫内で作業者が無駄に移動している場面は見受けられないでしょうか。 「歩かせない」とは、そうした無駄な移動を防ぐことを意味します。もし倉庫内で長距離の移動が頻繁に発生しているのであれば、動線や在庫品の配置を最適化することを検討してみてはいかがでしょうか。

 その一例として、出荷ABC分析を用いた在庫配置の最適化が挙げられます。出荷頻度の高いAランク品を出荷口や作業エリアの近くに、B・Cランク品は比較的遠方に配置することで、ピッキングや出荷作業時の移動距離を大幅に短縮でき、作業効率の向上が期待できます。

書かせない

 昔からの運用を続けている倉庫では、帳票に手書きで記録する作業が、今もなお根強く残っているのではないでしょうか。「書かせない」とは、そうした手書き作業の手間とミスをなくすことを意味します。手書きによる作業は、自由に書き込めるなどその場の状況に柔軟に対応できるという利点がありますが、時間がかかるうえに、読み間違いや記入ミスといったヒューマンエラーの原因にもなります。

 また、現場作業者が手書きで記入した帳票を基に事務担当者がPCに再入力するといった二重作業が発生している場合は、バーコードスキャンなどのデジタル化を進めることで、事務作業の工数削減や入力ミス防止による品質向上が期待できます。

 手書き作業が発生するということは、帳票の印刷や保管といった紙の運用コストも発生します。「書かせない」ことは、帳票の出力や保管を不要にするだけでなく、ペーパーレス化を進めるうえでも有効であり、結果として全体的なコスト削減につながります。 

探させない

 物流現場では、さまざまな場面で「探す」という作業が発生しています。この「探す」という作業をいかに削減できるかが、作業効率を高めるうえで重要なポイントとなります。たとえば、作業に必要な備品や機器を定位置で管理し、誰でもすぐに取り出せるように整理・整頓しておくことは、5S活動の基本でありながら、現場では知らず知らずのうちに疎かになり「探す」行為が発生してしまうポイントです。

 その他の具体例として、複数のアイテムがまとめて納品されるケースで、目視でアイテムごとに仕分けしてから入庫作業を行っている現場もあります。 このような目視での仕分け作業では、「どの商品がどの入庫予定に合致するか探す」といったムダな工程が発生しやすく、作業効率を低下させる要因となります。こうした場面では、ハンディターミナルによるバーコードスキャンで商品を照合しながら仕分けることで、目視確認の手間を削減でき、作業者の負担軽減と生産性の向上が期待できます。

  このように、「歩かせない」「書かせない」「探させない」という視点を意識することで、現場に潜むムダや課題が見えやすくなり、改善への第一歩を踏み出すことができます。まずは現場をよく観察し、「歩く」「書く」「探す」といった作業がないかチェックしてみてください。そこには、改善すべきポイントが隠れているかもしれません。本稿が、皆様の現場改善のヒントとなり、業務のさらなる効率化・省人化のお役に立てますと幸いです。

(文責:比嘉 祥貴)

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