CLO(Chief Logistics Officer)について

海外では珍しくないCLO

545号を担当いたします中谷(なかたに)です。

 企業の最高経営責任者のことをCEO(Chief Executive Officer)といいますが、ロジスティクスの最高責任者はCLOとよばれています。日本ではあまり聞くことのない役職ですが、海外では珍しくないものです。今回は、「物流の2024年問題」に関連する話題として取り上げられている「物流統括管理者」と「CLO」について取り上げたいと思います。

 2024年5月に、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律、及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」が公布されました。この法律の中で、「物流統括管理者は、特定荷主が行う事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者をもって充てなければならない」とされ、より具体的に「役員クラス」の選任が求められています。詳細はこれから決定されるというものの、聞きなれない役職ですので、すでに多くの方が注目しています。

 この「物流統括管理者」は、前記の表現からも分かるように物流の部門長ではなく、さらに上位の管理的な地位から、物流のみならず生産や販売などの部門も含めた、より実務的な実効性のある施策を推進するという役割と考えられます。「物流の2024年問題」への対応のためには、物流部門だけでは解決できないことも多く、重要な役割と考えられます。

 これに対して、一般的にCLOの基本的な役割は、企業のロジスティクスのビジョンや戦略を策定し、推進していくことです。そのためには、物流部門はもとより、調達や生産、販売部門に対しても責任を負うことになります。また、顧客サービス水準の決定などの意思決定に関与する立場でもあります。これは、顧客サービス水準の内容が、生産、販売、物流などに大きく影響を与えるためです。さらには、ロジスティクス全体の管理と最適化、リスク管理とコンプライアンス、同業他社や異業種との交流なども役割です。

「物流統括管理者」よりも守備範囲が広いのがCLO

 今回選任が求められる物流統括管理者は、その名称から物流の2024年問題への対応のためのイメージが強いですが、それに対してCLOは直近の施策推進と合わせて中期の施策も推進するのが役割です。従ってCLOのほうが守備範囲は広いといえます。

 ロジスティクスは、経営そのものです。調達を含めた生産、販売、物流の最適化を計画、実施、統制するものです。CLOは、そのロジスティクスの最高責任者ですから、極めて重要なポジションであることがわかります。物流を取り巻く環境はとても厳しいため、CLOや物流統括管理者といった呼称にとらわれることなく、課題を解決していくことが求められています。

(文責:中谷 祐治)

参考文献

報道発表資料:「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」を閣議決定 – 国土交通省 (mlit.go.jp)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第545号 2024年9月4日)

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