少子高齢化社会における高齢者が活躍できる倉庫現場作り

 日本は少子化によって体力のある若い世代の労働力が減少し、人手不足が深刻化しておりますが、2022年4月から開始された年金の繰下げ受給の年齢上限の引き上げ(受給開始年齢の上限75歳)や2021年4月に改正された高年齢者雇用安定法の事業者に対する70歳までの就業機会確保の努力義務化などによって、高齢就業者数は年々増加しています。

 本稿では、シニア層が安心して働ける倉庫現場を構築するためのポイントについて考えていきたいと思います。

体力負荷の少ない現場作り

 高齢になってくると体力は低下していきます。出荷頻度の高い商品を検品作業場所から近い場所に配置し、棚を取りやすい高さに格納することや、流通加工や検品作業時に椅子を用いて立ち仕事を減らすなど、体に負荷のかかる作業を削減する工夫が大切です。
また、休憩の長さや間隔も見直し、疲労が溜まらないようにすることも重要なポイントです。

視力、聴力低下に配慮した現場作り

 加齢と共に、焦点の調整が難しくなったり、暗い場所で見えづらくなったり、耳も聞こえづらくなってきます。庫内ロケーション表示や掲示物、ハンディターミナルなどの文字の大きさ、照度にも気を付けましょう。また、会話やハンディターミナルのエラー音などを聞き取りにくくするようなBGMを避けるなども高齢者への配慮として大切なことです。

注意力、判断力の低下に配慮した現場作り

 厚生労働省の「令和4年(2022年) 高年齢労働者の労働災害発生状況」によると、労災による全死傷者数のうち60歳以上の占める割合は28.7%となっており、雇用者全体に占める60歳以上の占める割合(18.4%)を大きく上回っています。倉庫現場で安全に高齢者に働いてもらうには、今以上の安全対策が必要となってきます。段差や滑りやすい場所への注意喚起、足元の電気配線を束ねることや床面の水濡れを常に拭き取るなどの転倒事故対策などをしっかりと行いましょう。また、倉庫の基本である3S(整理・整頓・清掃)の徹底は安全対策としてとても有効な手段です。

最後に

 このように、加齢に伴い低下していく「体力」「視力/聴力」「注意力」などに配慮した現場設計が高齢者の活躍できる現場には必要です。 また、個々の健康状態への気遣いや、家庭環境に配慮した自由度の高い就業制度の導入などを検討していくことも重要なことだと思います。

 そして、日本中に高齢者が安心して活躍できる場所が増えていけば、人手不足の解消だけではなく、生きがいをもって長く働き続けたいという高齢者のニーズ、増え続ける現役世代や次世代の社会保障負担の低減など、社会全体にとってのメリットは大きいと感じます。単に効率化や省人化だけを追求するだけではなく、高齢者が活躍できる場を提供していくことは、企業の社会的責任としてとても意義のある事だと思います。

(文責:加藤 正文)

【参考資料】
厚生労働省 『高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン』
厚生労働省 『令和4年 高年齢労働者の労働災害発生状況』
総務省統計局『統計からみた我が国の高齢者 「敬老の日」にちなんで』

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第516号 2023年10月25日)
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