マテハンの選定や設備仕様の検討などが増えています
ご存知の通り日本国内ではどの業界においても労働力不足が叫ばれており、人件費が高騰しています。このような状況を背景として物流業界では機械化、自動化の検討が進んでいます。もはや現状を前提とした効率化は限界を迎えつつあり、それなりの投資を行って、機械化・自動化をせざるを得ない環境になっています。
弊社の案件では、マテハンの選定や設備仕様の検討などが増えてきています。筆者が昨年度から担当してきた案件で、自動倉庫の仕様検討と導入について担当させていただく機会がありました。今回は自動倉庫の概要や導入時におけるポイントについて述べます。
まず、自動倉庫とは、部品や材料などをスタッカーラック(荷棚)に収納し、製品受入から出荷までの一連の流れを情報システムで管理する「オートメーションシステム」を導入した倉庫のことです。具体的にはスタッカークレーンや制御装置、在庫管理装置などの導入と、各倉庫独自の管理システムの構築によって入出庫作業が自動化できます。
自動倉庫のメリットとデメリット
自動倉庫のメリットとデメリットですが、以下の点があげられます。
メリット
労働環境の悪い倉庫で省力化を実現(低温倉庫や冷凍倉庫、危険物の保管庫など)
- 人手による入庫・出庫作業を効率化 、省力化
- パレット自動倉庫の場合は、リフトオペレーターの人員削減が可能
- ケース自動倉庫の場合は、ピッキングの歩行距離削減が可能
- 立体空間(縦横)の有効活用が可能
- 在庫管理システムによる先入れ先出しが可能
- 在庫管理工数の削減が可能(はい替えによる棚のメンテナンスや事務的なはい替えなど)
デメリット
- 初期投資が高い
- トラブル時の出荷停止リスクが大きい(停電した場合、出荷ができないなど)
以上が概要となりますが、続いて次節では導入検討時の注意点について述べていきます。
自動倉庫導入時に注意すべき点
導入時のポイントには設備仕様に関するハード面とシステムに関するソフト面の2つが大きくあります。
ハード面
- 作業ボリュームに合わせた機械能力の設定(入庫、出庫)
- 自動倉庫への保管前後の作業内容を踏まえたコンベアレイアウトの設計
- パレット積載数を見極めた保管能力や間口の高さの検討
ソフト面
- 上位WMSとの適合性やシステム改修範囲の明確化
- 格納の際必要なパレットバーコード等のルールと運用のマッチング
実際に発生したトラブル
最後に検討の中で、実際に発生したトラブルとその対策についてご紹介します。
自動倉庫稼働直後のことですが、よくセンサーエラーが発生し、出荷作業が一時停止するということがありました。調べてみると商品に巻かれていたラップがはがれていて、パレットの上の商品がずれていたことが原因でした。また、今回検討した倉庫は冷凍倉庫だったのですが、投入時にきれいにラップ巻きしていても、格納後に冷気で縮んではがれてしまうということもありました。これらの問題は作業者の慣れやセンサーの調整の精度を上げていくことで解消されました。
自動倉庫を導入することは、マテリアルハンドリングや物流工程全体の改善へとつながります。業務効率化や安全性のアップ、リードタイム改善によるコスト削減など、多様な面での改善効果が期待できることが自動倉庫の利点です。
(文責:渡辺 隆太郎)
ロジ・ソリューションでは、自動倉庫をはじめ、さまざまなマテハン機器の選定や設備仕様の検討支援も行っています。お気軽にご相談ください。(お問い合せはこちら)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第395号 2018年12月5日)