就職内定の取り消し
最近、毎日のように契約社員や派遣労働者の契約解雇に関する記事がニュースで流れています。米国に端を発した金融危機や株価下落が国内の景気低迷を招き、来春卒業予定の学生雇用にも影響しはじめています。
ここ数年は「売り手市場」といわれてきた就職戦線、学生は少なくとも2つ、3つの内定をもらった中で就職先絞り込みをおこなっていたと思います。しかし、状況は一変しました。厚生労働省調査によると、採用内定を取り消された来春卒業予定の学生は、全国で331人に上るとのこと。特に不動産 業(84人)、製造業(59人)が目立っています。
ようやく内定をもらい、将来の夢を膨らませ来春の入社を夢見ていたにもかかわらず“内定取り消し”の一言で済ませてしまうのは許せるものではありません。特に、他の企業からの内定を断って一社に絞り込んだ学生が再び就職先を探すのは精神的にも時間的にも大変です。
これらの状況を受け与党が雇用対策の原案を明らかにしました(12月2日)。
派遣労働者を正社員などに採用した派遣先の企業に、最大で一人当たり百万円程度を助成する制度を創設し、内定を取り消された学生を採用した企業にも助成金を支払うことで就職を後押し、悪質な内定取り消しでは企業名を公表するというものです。
厳しい経済環境とはいえ、企業は若者の夢を壊さぬよう内定を取り消すことなく、この厳しい環境をチャンスと考え、ポジティブに人員活用を考えてもらいたいものです。
松下幸之助氏の言葉で「企業は人なり」というよく聞く言葉があります。
人を育成するのも、マネジメントするのもやはり“人”です。企業の成長、発展、進化はそこに働く“人”にかかっていると 言い切っても過言ではありません。
物流業界、今がチャンス?
これらの就職戦線、物流業界においてはどうでしょうか。
物流業界は3K(「きけん」「きたない」「きつい」)といわれ若者から今でも敬遠されている業界です。伝え聞くところによると100人就職を希望した場合、物流関係を希望するのはせいぜい2~3人のようです。更に、今後10年の間に団塊の世代が次々に退職し労働人口が減少、不足してくる事が現実的な話として鎮座しています。
今後、必要な時に採用募集を謳っても、その時の“物流業界”は(学生の)就職先選択肢の一つとなっているのでしょうか。1990年代半ばから約10年間続いた「就職氷河期」、かなりの企業が採用を控えていました。その中で積極的に優秀な人材を採用した(買い手市場であったため優秀な人材が集まりやすかった)企業は、現在、優秀な中堅社員が育っており、企業が活性化しています。
逆に採用を控えなければならなかった企業(控えてしまった企業)においては、中堅社員がいない中抜きの組織構造となっています。企業としては致命的です。
しかし、こんな時期だからこそ物流業界は採用活動を積極的に行うべきではないでしょうか。
物流業界は典型的な労働集約産業というイメージがありますが、情報技術革新が進み一昔前とは大きく環境が違ってきています。悪いイメージを払拭し有望な人材を物流業界に呼び寄せましょう。
苦しい時こそ、その苦境を乗り越えるため組織を見直し、体制の強化を行い、次に来る予期できぬ状況に柔軟に対応できる“人”を採用し時間をかけて育てることが必要だと思います。
(文責:戸井田)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第16号 2009年1月21日)