物流現場では、将来の物量増加への対応や安定稼働の維持を目的として、マテハン設備の改修を検討する場面があります。その際には、設備改修そのものだけでなく、改修期間中の運用をどのように考えるかも重要です。
例えば、小売店舗向けの商品仕分けにソーターを使用している物流センターを想定します。ソーターの改修に伴い一定期間使用できなくなる場合、その期間中も日々の出荷業務を継続できるかという点が、一つの検討テーマになります。
こうした場面では、設備が使えないこと自体への不安が先行しがちです。しかし、重要なのは不安の大きさを議論することではなく、その期間の物量や必要人員を整理し、どのような対応が可能なのかを検討することです。
まずは物量から改修時期を考える
まず、物量を定量的に把握することです。
「この時期は比較的落ち着いている」といった感覚的な認識ではなく、月別・日別の出荷実績を確認し、実際に処理する物量を明確にします。
この整理によって、ピーク期との物量差や日ごとの変動幅が見えるようになります。また、設備停止による影響を比較的小さく抑えられる時期も把握しやすくなります。
設備停止による影響を最小限に抑えるためには、可能な限り物量の少ない時期に工事を計画することが望まれます。
そのうえで、ソーターが使用できない期間について、物量・人員・運用方法をどのように組み立てられるかを整理していきます。
必要人員を試算して現実的な運用を考える
改修時期が決まったら、ソーターを使用しない運用で必要となる人員を試算します。
例えば、ソーターで処理していた物量をすべてハンディ端末による手仕分けへ切り替えると仮定し、作業生産性や稼働時間から必要工数を算出します。
設備を活用した通常運用と比べれば、人員増加が必要になるケースも少なくありません。しかし、このように試算することで、設備停止期間中に必要となる応援要員や追加手配の規模を事前に把握できます。
<イメージ例>
※以下は考え方を説明するための架空の数値による試算例です。実際には現場ごとに物量や生産性は異なりますが、「設備停止期間に必要な人員規模を試算し、過去の運営実績と比較する」という考え方は共通です。
設備停止期間を物量の少ないボトム月に設定し、その期間中で最も物量の多い日を想定して試算をする
| ケース | 処理数 | 方式 | 生産性 | 必要人員 |
| ボトム月ピーク日(実績) | 1,000ピース | ソーター+手仕分け | 100ピース/人H | 10人 |
| ボトム月ピーク日(設備停止時) | 1,000ピース | 手仕分けのみ | 50ピース/人H | 20人 |
| ピーク月平常日(実績) | 2,000ピース | ソーター+手仕分け | 100ピース/人H | 20人 |
この例では、設備停止期間中は手仕分け中心の運用となるため必要人員は増加します。しかし、試算上の必要人員は20人であり、過去のピーク期に経験している運営体制と同規模です。
設備が使えない期間だからといって、必ずしも新しい運用を一から作る必要はありません。
人員試算の結果や運用条件を整理したうえで、既に経験しているピーク期の人員体制や運用方法を応用できないかを検討してみることも有効です。
もちろん、人員確保だけでなく、ハンディ端末の台数、作業スペースの確保、事前の作業教育といった準備は必要になります。しかし、これらも事前に整理し、検討できる事項ではないでしょうか。
人手以外の対策も組み合わせる
運用検討にあたっては、人員増強だけに頼らない工夫も考えられます。
店舗への前倒し出荷による物量の平準化、段階的な工事計画、簡易的な仕分け支援ツールの活用など、複数の対策を組み合わせることでリスクを低減できます。
おわりに
設備改修に伴う設備停止は避けられないのだとしたら、重要なのは、それを漠然とした不安として捉えるのではなく、物量・人員・期間等を整理し、検討可能な条件として扱うことです。
設備改修は一時的に現場へ負荷を与える一方で、将来の安定稼働や能力向上につながる取り組みでもあります。「止められないからやらない」のではなく、「止まる前提でどう運用を組み立てるか」を考えることが、設備改修を進める上での一つの考え方になるのではないでしょうか。
(文責:真壁)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。
ロジ・ソリューションでは、物流に関するさまざまなご支援を行っております。お困りのことがありましたら、ぜひお声掛けください。
(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信 第613号 2026年9月30日)
