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物流費の割合が大きくなってきたEC
小説の例となった巨大ショッピングモールの会社は関連会社を充実化し、その一つとして、物流会社も開設して、インフラ部分の解消を図っているようです。先日その会社の講演を拝聴しました。
WEB通販は、成長はしているものの、通販内容の傾向としては「購買金額が低くなりつつある」ようです。今までWEB通販は高いものを格安価格で購入というのが主流でした。家電やPC関連、産地直送の高級食材…、今でもトップを競うのは産直品だそうですが、だんだんと日用品が台頭してきているようです。出向けば手に入る日用品を、WEBで購入し届けてもらう志向が強くなってきました。
日用品ですから購買単価は今までより安くなります。購買単価が低くなると、1個の荷物に占める物流費の割合が大きくなってきます。極端にいえば、1個10kgの商品、販売額は20,000円のものでも、5,000円のものでも運賃は500円。物流費の占める割合でみると前者が2.5%、後者は10%になってしまいます。
日本ロジスティクスシステム協会の2007年度物流コスト調査報告書によると、製造業での物流費の締める割合は4.79%程なのですが、通販業での物流費の締める割合は12.39%もなるようで、通販業界にとって、別会社を作ってでも、費用をかけてでもテコ入れする分野になるようです。
同社は出店側が受注数に応じて確実に出荷準備が行われる「出荷の効率化」と、配送ネットワークの確立による共同配送の実現を行い「安価な配送運賃」の提供、まるで近所のスーパーで買うような感覚で通販が行えるところを目標としているようです。スピーディーな出荷作業と全国を網羅した品質の高いかつ安い配送を手に入れると通販会社の最大の武器になるでしょう。
こうした物流業界への他業界の参入は、物流業界にとって痛手なのでしょうか。物流業界は官民共に人材教育に力を注いでいる今、チャンスが訪れていると考えるべきではないでしょうか。決して大手の物流業者だけの独壇場ではなく、地場の中小物流業者のネットワークによる物流網、サービス網がキーになってくると思われます。他業界の新規参入に手をこまねいているのではなく物流会社同士のネットワークを強化して、物流業界から通販業界、他業界に対してアプローチをしていくべきだと思います。
(文責:岩本)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第75号 2010年4月14日)