はじめに
地球表面の大気や海洋の平均温度が長期的に見て上昇する地球温暖化は、解決が見えない世界規模の環境問題となっています。人類のみならず動植物の生存を脅かす地球温暖化は、業界や企業だけに任せるのではなく、消費者一人ひとりの取り組も大切であることは言うまでもありません。
最近、カーボンフットプリント制度という言葉を耳にしますが、カーボンフットプリント制度(以下「CFP」)とは、2009年3月に経済産業省より発表された制度で、『商品・サービスのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算し当該商品及びサービスに分かりやすく表示(マーク)する仕組み』で、見えないCO2を見える形に表した“共通のものさし”のようなものです。※ライフサイクル=原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまで。
そして、その目的は、国民一人一人が、低炭素社会の実現に向けて責任ある行動をとるために、CO2排出量の「見える化」によって、
(1) 「事業者」は、サプライチェーンを構成する企業間で協力し更なるCO2排出量削減に努める。
(2) 「消費者」は、マークされている情報より自らの購入、使用、廃棄に伴うCO2排出量削減に努める。
というものです。この様にこの取り組みは、事業者だけでなく消費者も地球温暖化の抑制のために関わる必要があるという事の意味合いが含まれています。
算定されたCO2排出量は信用出来るのか
そこで重要なのが、この算定された排出量が信用できるものかどうかです。ルールでは申請された内容について、審査、検証をおこなうことになっていますが、このCFP算定方法はかなり難しく、現時点においてもその算定方法のあり方について推進参加メンバーで論議されているようです。
物流に関わる部分で考えた場合、その算定範囲の中に「流通・販売」というプロセスが含まれているので、事業者がこのプロセス毎のCO2排出量を算定する際に、プロセスに関わる物流企業にその排出量の提示を求めることも考えられます。しかし、流通経路は一つのパターンのみということは少なく物量、納品条件などによってもかなり違ってくるので大変です。
そこでこの試算については、煩雑でコストもかかることが予想されることから、一定のシナリオ”を設定することができるそうです。
しかし、このシナリオ作成については、まだその方法について明記されたものがなく関係事業者を交えた公正・公平な論議に努める必要があるとされています。物流企業としては、自社の関わるCO2排出量をCFPに関わることなく常に把握しておく必要があります。どんぶり勘定の事業者と言わせないためにもきっちり提出したいものですね。
具体的なCFPの算定方法、マークの付与までの流れなどは、カーボンフットプリント制度のWebサイト 製品のCO2の「見える化」カーボンフットプリントhttps://www.cfp-japan.jp/ を参照して頂ければと思います。
(文責:戸井田)
<参照>
経済産業省Webサイト https://www.meti.go.jp
カーボンフットプリント制度の基本ルールが決定
~CO2排出量の算定・表示方法等のルールの策定~ カーボンフットプリント指針
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第66号 2010年2月3日)