パレチゼーション化の課題と対策

1.物流業界の現状

 今般の物流業界は、深刻な人手不足、労働環境の悪化、燃料費などの高騰など多くの問題に直面しています。 こうした中、2024年にトラックドライバーの時間外労働時間の上限が設定され、長時間労働が不可能となりました。 
 一方、今年度から施行された「改正物流効率化法」は、荷主側にも物流効率化の義務を課し、サプライチェーン全体での効率化と持続可能性を目指し、社会全体で物流環境改善しようとするものです。 いわゆる「物流の2026年問題」です。
 今回は、荷役時間の短縮・ドライバーの負担軽減・品質UPに効果のあるパレチゼーション化(以下パレチ化)に焦点を当て、物流事業者だけでは改善が難しく、荷主・荷受け側との連携が不可欠なパレチ化する際の問題・課題と対策に触れてみたいと思います。 

2.パレチ化を推進する上での問題と対策

問題1:パレットサイズの問題

 メーカーでは生産した商品の梱包サイズに合わせ、かつ自社工場内で使用することを前提に独自のパレットサイズを決めて運用しているのをよく見受けます。パレットサイズが標準となっていない場合、そのまま輸送に使用すると積載率ダウンや荷受け側からの受け入れ拒否が発生したり、標準パレットへの積み替えが発生したりします。トラック荷台幅の内寸は、2300mmが多いため、荷台横に2パレット積載することを考えると、パレットの横幅は1100mm or 1150mmがベターで、標準パレットとしては、11型(1100mmm×1100mm)もしくは14型(1100mm×1400mm)が理想です。
 
 ただし、独自サイズのパレットをすでに購入済であったり、パレット積み付け用パレタイズの機械や工場内保管設備が独自パレット仕様になっていたりする場合には、設備変更に時間とコストがかかります。
 また、場合によっては、標準パレットに合わせるために、梱包サイズや入数、パレット積み付け数・積み付けパターンの見直しを図る必要もでてきます。従って、パレットを変更する際は、課題を整理し、解決のためのステップ・スケジュールを決めることが必要となります。

問題2:パレット管理や回収の問題

 自社パレットを使ってSP(ストックポイント)や納品先まで輸送する場合、紛失リスクが高いことやパレットの管理が煩雑であること、またパレットの回収費がかさむことなどの問題が生じます。
工場から特定のSPまでパレチ化の対象とする場合は、自社パレットでの運用でも大きな問題にはなりませんが、納品先まで一貫パレチ化を望むのであれば、レンタルパレットの方がリスクは小さいと思われます。これらのことを考慮してパレチ化の対象範囲を決める必要があります。

問題3:輸送時の積載率ダウン

 容積品(重量が軽く、ケースサイズが大きいもの)の場合、パレチ化することにより、輸送時の積載率がダウンする可能性があります。結果、輸送台数増となり、コストアップ要因になりかねません。

 例)段ボールサイズ(L500mm×W350mm×H400mmで自重10kg)の場合、13トン車(荷台内寸L9200mm×W2300mm×H2500mm)に積載する場合には、バラ積みの場合540ケース積載可能ですが、パレット積みの場合 384ケース積載可能となり、積載率が約3割ダウンします。(=輸送費UP)

 しかしながら、物流事業者が手荷役を敬遠し運べなくなることを考えると、積載率が落ちてでもパレチ化せざる得ない状況になると考えます。
また、荷主と物流事業者との運送委託料金は、バラ荷役でもパレット荷役でも同じ料金になっている場合が多いです。本来、バラ荷役とパレット荷役とで運賃格差を設けておくとパレチ化を推進することに繋がると思います。

問題4:パレットレンタルの問題

 レンタルパレットでパレット輸送を検討する場合、レンタル会社は複数社あるため、会社により発生する費用項目が違います。また、荷送り側と荷受け側で使用レンタルパレットが違う場合、荷受け側でパレット受け取りを拒否される場合や、受け取りをしてもらうための調整に時間がかかる場合があります。
(参考)パレット会社別費用項目例
パレットレンタル会社A社・・・・基本使用料(パレットデポ出庫料)、レンタル料、リレー料(借主名義変更時)、拠点管理料、持ち込み・返送料

パレットレンタル会社B社・・・・レンタル料、メーカーチャージ(名義変更料)、持ち込み料・返送料

 レンタルパレット利用を検討する際には、各社の運用のしくみ・料金や業界の利用状況などを十分調査しておく事は絶対必要です。
 また、これはあくまで個人的要望ですが、パレットレンタル業界全体で、例えばビール業界の様にどのレンタル会社のパレットを利用し、かつ名義が変わっても自由に運用できる仕組み(レンタル会社指定排除、共有パレットデポの活用や管理システムの統合など)で運用できる体制をレンタル業界全体で協議し、構築してほしいと願っています。

問題5:貨物受け渡し時のトラブル

 パレット納品では、受け渡し時の確認が外観チェックに限られます。
そのため、1パレットに複数ケースを積載している場合、傷や汚れを見落としやすくなります。
 結果として、後日になって製品異常が発覚し、責任の所在が曖昧なままトラブルに発展するケースがあります。
 対策としては、事前に荷送り側・荷受け側・物流事業者とで受け渡し基準・ルール(貨物事故を発見した時の対処方法など)を決めておく事が重要です。 

以上、考えられる問題・課題と対策を記述しました。

最後に

 物流を取り巻く環境は年々厳しさを増し、2030年には日本国内の人口の約3割が高齢者となり、ドライバー不足も21万人になると言われています。ドライバーの賃金UPや荷待ち時間・荷役時間の短縮など物流環境整備が更に求められます。パレチ化も工場からSPまでの一部の領域のパレチ化にとどまらず、発荷主から納品先まで一貫したパレチ化を望む声が大きくなるのは必然であり、中長期展望にたって計画的にパレチ化計画を進めてほしいと思います。
 パレチ化を検討する際の参考になれば幸いです。

 (文責:奈須 光紀)


(参考)
令和4年トラック輸送データ集(全日本トラック協会)
 
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第599号 2026年4月1日)

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