業務引き継ぎの難しさ
563号を担当いたします真壁です。
先日、友人に元気がないので話を聞いてみると、「退職する先輩の業務を引継ぐことになったが、マニュアルがない状態、かつ短期間で引継ぎを受けた。引継ぎ中は同じ内容の説明を繰り返し受けていたが、業務を自身で行ってからは、聞いていない業務がたくさん出てきて仕事が大変である。」とのことでした。おそらく、友人の先輩は、重要と思われる内容を繰り返し説明し、業務を行っていた側として当たり前になっていた全体の内容の説明が漏れてしまったのではないでしょうか。
本来、引継ぎ期間を十分にとり、マニュアルを活用し、業務を一緒に行いながら引継ぎを行うべきだと思いますが、実際には引継ぎ期間に余裕があるとは限りません。限られた期間の中で、漏れなく、ダブりなく引継ぎ業務を行うことは難しいものです。今回は、私が物流センターの事務業務を短期間で引継いだ経験を基に、引継ぎのポイント、確認しておくべきことについて取り上げます。
引継ぎのポイント
1.業務の位置づけと範囲
物流センターにおいては、様々な業務が存在します。引継ぐ業務がどの業務に属し、どのような位置づけで行われているのかを説明します。これにより、引継ぎを受ける側は、業務の全体像を理解することが可能となります。
2.業務内容とスケジュール
担当業務の内容整理が重要です。冒頭の例のように、当たり前になっていて忘れてしまいがちな業務も漏れなく伝えることが重要です。例えば、物流センターの事務業務においては、担当の荷主や作業のための帳票出力など具体的に作業できる内容です。また、業務には年次、月次、週次、日次などの様々なスケジュールがあるので、期日も明確にします。また、これらを一覧にすることで、業務を把握するためのチェックシートとしても活用できます。
3.書類、帳票、データ、システム
業務を遂行する上で使用するシステムの使用方法、何の業務に何の資料を使うのか、関連資料、各種報告フォーマットやデータがどのデータベースや棚に保管されているのか、その場所を伝えておくことも重要です。
4.担当者と連絡先
業務は一人では完結しないことがほとんどです。情報を得るためには誰に連絡すればよいのか、報告先はどこか、相談先は誰かなど、関係者の役割や連絡先を共有します。
5.検討途中の案件
検討途中の案件はないか、どのような内容が検討されているのか、進捗状況や今後のアクションプランは何か、そして、これまで誰とどのようなやり取りをしていたのかを伝えておくことが大切です。例えば、新店舗への納品の仕方を検討して荷主へ回答するなど、特に回答が求められる状況において、引継ぎを受けた側が知らない場合、そのまま放置されてしまうリスクがあります。
6.イレギュラーとして発生する内容
イレギュラーとして発生しうるものがあれば、情報を共有しておきます。引継ぐ側の経験を聞いておくことで、引継ぎを受ける側は対応の準備ができます。
7.問い合わせ内容
お客様からの問い合わせに関する過去の内容やよくある問い合わせを伝えておくことで、担当者が変わった場合でも円滑に対応できるようになります。
8.積極的に取り組む
最後に、引継ぎを行う側も受ける側も、聞いてくるまで待つ、教えてくれるまで待つ、ということではなく、自ら積極的に取り組む姿勢が最も重要だと考えます。引継ぐ側は、自身の業務が終了するからといって中途半端にせず、未経験者である相手の理解を確認しましょう。受ける側は、実際に自分がその業務を行うとイメージして取り組むことが大切です。
おわりに
本稿では基本的な引継ぎのポイントをご紹介しました。業務によってはこの他にもあるかもしれませんが、私はこれらのポイントを中心に確認し、引継いだ物流センターの事務業務を問題なく遂行することができました。物流センターの事務業務に限らず、引継ぎは業務の円滑な移行のために非常に重要です。思いつくままに引継ぐのと、今回のポイントを押さえたうえで行うのとでは、結果が異なってくるはずです。
(文責:真壁 由香)
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