教科書では学べない倉庫レイアウトの実務
538号を担当いたします熊澤です。
私たちの業務の一つに倉庫レイアウト作成がありますが、これから新たに物流に関わる皆さんに倉庫レイアウトの作成には詳細な視点が必要なことをお伝えしようと思います。
倉庫のレイアウト検討や作成方法は、書籍だけでなくWeb上にも多くの情報があり、参考にされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
例えば、新たなセンター構築だけでなく既存の倉庫レイアウト改善においても、各分析や作業と紐付いた導線を念頭にしたブロックパターンを作成し、個別商品の物量や荷姿から保管設備を設定して、まずはレイアウト図面を作成するといった検討ステップがあります。こうしてレイアウト図面が出来たら、実際の倉庫に落とし込むために庫内のライン引きをして、保管設備の配置やロケーション付番をする作業を行います。
しかし、この段階でレイアウト図面通りにいかない場合があります。倉庫レイアウト作成の経験がある読者の皆様はレイアウト修正に追われたことは無いでしょうか?
実は、実運用で考慮が必要な事項は教科書にはあまり載っておらず、レイアウト修正を経験するまで学べないかもしれません。
倉庫レイアウト作成ではこの12の視点を意識して
そこで、今回はより現実的な倉庫レイアウト作成に必要な詳細の視点をいくつか紹介します。
- 屋内消火栓や消火器の前はスペースを確保できているか ※指定範囲はご自身で確認してください
- 消防突入口の前はスペースを確保できているか
- 避難表示灯を隠す配置になっていないか
- 天井の梁や照明に当たらない保管高さを設定しているか
- 換気扇や通風ダクト等の上空障害を避けて配置しているか・歩行帯を確保できているか。基本的には保管やメインの作業導線と区別する・照明の下に通路を配置できているか
- リフト充電場の前はスペースを確保できているか
- 防火区画横や庫外へ出入りするドア前はスペースを確保できているか
- 柱の根巻寸法を考慮して有効寸法を把握できているか。上階ほど寸法が小さくなることもあります
- 柱間のブレースを避けた配置にしているか。保管だけでなく通路としても使えません
- 空調機本体や風向きを考慮して配置しているか
- マテハンの機幅だけでなく衝突防止機器の位置も考慮できているか
- 山欠けロスや翌日入庫分の空きロケを考慮できているか
他にも考慮することがありますが、一般的な留意点だけでなく現地の倉庫や建築図面も確認し、さらに現場の経験者に意見を求めることも重要です。また、あまり細かい事を考慮しすぎるとレイアウト作成に時間がかかりますので、現地での微修正を前提とした余力のあるレイアウト図面にしておくのも一つの手でしょう。
今回ご紹介した内容が全てではありませんが、これらを参考にしてみてはいかがでしょうか。またご自身でも業務を行う担当者の視点に立って新たな着眼点を見つけてください。
(文責:熊澤 裕一)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第538号 2024年7月17日)